AC/DCブライアン・ジョンソンが語る聴力障害の真実:「こんな人生を送ることができて俺は幸せもの」

「ロックンロールバンドとしてステージに立っていることが、いったいどういうことかわかるかい?無防備で工場の大騒音にさらされているのと同じさ」。

ジョンソンはまた、中途で降板せざるを得なかった『ロック・オア・バスト』ツアー中のできごとについても明らかにしている。事の発端は、2015年9月17日にカナダのウィニペグで行われた豪雨の中でのライヴだった。凍えるような寒さの中でびしょ濡れになりながら演奏を続けたため、ジョンソンとヤングは熱を出してしまった。それでもバンドはすぐに次の開催地バンクーバーまで、約2時間半かけて飛ばなければならなかった。「どうやら耳の中に水が溜まってしまったようなんだ」と、ジョンソンは振り返った。

その後バンドは、サンフランシスコからロサンゼルスへとツアーを続け、小休止といくつかのコンサートをこなすためにオーストラリアへ戻った。その頃ジョンソンはまだ耳に違和感を感じていたため、ツアーをこなしながら、シドニーの専門医、チャン医師の診察を受けた。ジョンソンはチャン医師の元へ、2015年のクリスマスまでに合計9回通っている。

ジョンソンの左耳は元々ほとんど聞こえない状態だったが、チャン医師の診断によると、今度は良い方の右耳にまで入り込んだ液体が結晶化し、聞こえづらくなっていた。「どの程度か具体的な数値はわからないが、良かった方の耳まで失いつつあり、何をするにも支障が出ていた」と、ジョンソンは語っている。

耳の中で結晶化した液体を溶かすため、腕から点滴で薬やステロイドを投与したという。ジョンソンは、チャン医師が彼の聴力が戻らないかもしれない、と宣告した時のことを笑いながら振り返った。「医者が患者に深刻な事態を伝える時によくある真剣な顔でやって来たので、"これは何か悪いことを宣告されるんだな"と感づいたよ」。しかし「聴力を完全に失うかもしれない」という医師の警告にもかかわらず、ジョンソンはバンドと共に北米ツアーを続行した。

定期的に検診を受けていたジョンソンのカルテを見ながら、医師たちは「このまま(大音量の中で)ステージに立ち続けると完全に聴力を失うことになる」とドクターストップをかけた。さらにバンドメンバーのアンガスとクリフをはじめ周囲の誰もが「ジョンノ、自分の健康が第一だぞ。もう一年もツアーを続けてきて、君はできる限りの所までやった。もう十分だよ」と声をかけてくれたという。「これが今みんなにわかってもらいたい真実さ」とジョンソンは語った。

AC/DCはその後、アクセル・ローズをゲストシンガーに迎えてヨーロッパツアーを続行している。バンドは2016年夏も同じメンバーで北米ツアーを重ねる予定である。

「バンドのメンバーとは多くの素晴らしい時間を過ごしてきた。こんな人生を送ることができて俺は幸せものさ。AC/DCのメンバーでいられたことに本当に感謝している。(ずっと走り続けてきたので)もうそろそろ休んでもいい頃じゃないかな」。

Translation by Smokva Tokyo

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