デヴィッド・ボウイが残した傑作映像25選

『アイム・アフレイド・オブ・アメリカンズ』(1997年)


ボウイにとって不遇の時代となった90年代に残された名作。本ビデオではニューヨークの街に生きる一市民としてのボウイが、『タクシードライバー』を彷彿とさせるアーミージャケットをまとったトレント・レズナー(その髪はまるで『ザ・ダウンワード・スパイラル』の頃から一度も洗っていないかのようだ)につけ回される。本作には両者のミステリアスな魅力が表れている。

『ズーランダー』(2001年)


ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンが共演したこのクラシックなコメディ映画で、ボウイは見事に一番おいしいところをかっさらっている。モデルのデレク・ズーランダーと彼のライバルであるハンセルは、どちらがより美しくランウェイを歩き去ることができるかを競う。その判定を下すジャッジとして、ボウイは自ら名乗りを上げる。もし彼がジャッジではなくモデルとして対決を挑んでいたら、2人には到底勝ち目がなかったはずだ。

『ザ・スターズ(・アー・アウト・トゥナイト)』(2013年)


ボウイが劇的な復活を遂げた『ザ・ネクスト・デイ』のハイライト曲のミュージックビデオ。何年も表舞台から遠ざかっていたボウイが、郊外に住む物静かな男性に扮する本ビデオでは、彼に似ていると指摘されるティルダ・スウィントンが妻役を演じている。本作のハイライトとなるのは、自宅でバンドと共に演奏しているボウイに瓜二つの隣人に辟易した彼がドアをノックするシーンだ。

『ラザルス』(2016年)


彼にとって最後のミュージックビデオとなったという事実を差し引いても、本作はファンの胸を締め付ける。病床のボウイは目隠しをされた状態で「私は目には見えない傷を負っている」と歌い、まともに立てない状況の中、必死に何かを記そうとしている。足元はおぼつかず、最後には自ら入ったクローゼットの扉を内側から閉める。『ラザルス』は最後の瞬間まで挑戦することをやめなかったボウイが遺した、悲しくも美しい別れのメッセージだ。


Translation by Masaaki Yoshida

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