Rolling Stone

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram

AC/DCの「まとめ役」だったマルコム・ヤングを偲ぶ

DAVID BROWNE | 2017/12/04 13:30

| Ron Pownall/Getty Images |

2017年11月18日にこの世を去ったマルコム・ヤング。AC/DCのギタリストとして、スポットライトを嫌がり裏方に徹しながらもロック史上に残る数々の名曲を生んだ。

「ポップスターになりたいと思ったことはないんだ。俺にとってバンドは9時〜5時の仕事みたいなものさ」と、マルコム・ヤングはかつてローリングストーン誌に語っている(2008年)。トレードマークであるランドセルを背負ったスクールボーイ・スタイルに身を包み、華麗なソロを弾きながらステージを駆け回るアンガス・ヤング。そんな弟の姿を見守りながらステージの後方に控え、AC/DCのギタリストとして淡々とリズム・ギターを刻んでいたマルコム。2003年、ザ・ローリング・ストーンズのステージでブルーズを1曲やろう、とヤング兄弟に声がかかった時も、彼は当初その誘いを断ったという。「“俺にはできない”なんてマルコムは言っていた」と、AC/DCの元ヴォーカル、ブライアン・ジョンソンは振り返る。「キース・リチャーズとロン・ウッドが、どうにかしてマルコムをステージの前へ引っ張り出そうとしているシーンは傑作だったよ。彼らに促されてちょっとだけ前で弾くと、すぐにアンプの前へ引っ込んでいった。それがいつもの彼らしいスタイルだった」

2017年11月18日、痴呆症からの合併症でこの世を去ったマルコム・ヤング(享年64)。派手なパフォーマンスを繰り広げる弟アンガスと並び、マルコムもバンドにとって無くてはならない存在だった。彼はAC/DCの名作のほとんどを、アンガスをはじめ、歴代ヴォーカルのブライアン・ジョンソンやボン・スコットらと共作している。彼は常にバンドのイメージや方向性に気を配りながら、印象に残るリフの数々を生み出した。

「アンガスはスター。一方のマルコムは、最もパワフルながら、ロックンロール史上最も過小評価されたリズム・ギタリストだ」と、トム・モレロ(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)は言う。「AC/DCはパワーの面で妥協のないバンドだが、それはマルコムの存在と彼のギタープレイによるところが大きい。AC/DCワールドの原点はそこにある」

家族でスコットランドからオーストラリアへ移住した後、15歳で高校を中退したマルコムは、工員として働きはじめた。70年代初め、彼はアンガスと共に、兄ジョージが結成したR&Bバンド、マーカス・フック・ロール・バンドに参加し、ミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせた。これが1973年にAC/DCを結成するベースとなる。その後マルコムは短期間、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドという名前のバンドにも参加した(訳註:いわゆるヴェルヴェッツとは別)。アンガス曰く、マルコムはリード・ギタリストとしてソロ・パートを弾くことも簡単にできたが、彼自身はバッキング・パートを好んだという。結果としてそれがバンドの駆動力となった。「マルコムは常に困難を克服する力を持っていた。バンドが行き詰まった時には俺の方を見て、“とにかく前を向いて何とかしよう。曲を作るんだよ”ってよく言ってくれた。彼はそんなパワーを持っていた」とアンガスは、ローリングストーン誌のインタビュー(2016年)で語っている。
Translated by Smokva Tokyo

RECOMMENDED

おすすめの記事