ジャック・ホワイトが語る、アーティストが果たすべき「使命」とは?

ローリングストーン誌のインタビューに応じたジャック・ホワイト(Photo by David James Swanson)

ジャック・ホワイトは自身の新作『ボーディング・ハウス・リーチ』について、「パンクもヒップホップもロックンロールも詰め込んだ、2018年のタイムカプセルのようなアルバムにしたかった」とローリングストーン誌に語った。

ニューヨークでレコーディング入りするにあたって、ジャック・ホワイトは自身にあるルールを課していた。それは過去に仕事をしたことのないミュージシャンだけを起用しつつ、すべてのレコーディングを3日間で終えるというものだった。選出されたミュージシャンの大半は、ジェイ・Z、カニエ・ウエスト、ケンドリック・ラマー等と仕事をするヒップホップ畑の人間だった。「正直に言って、音楽的に通じ合えるかどうかは自信がなかった」。ホワイトはそう話す。「悲劇的な結果になる可能性も孕んでいたから、周囲の人間はすっかりビビってた。でもそのスリル感が、俺にはすごく刺激的だったんだ」

セッション開始から10分後には、ホワイトはプロジェクトの成功を確信していたという。「始終驚かされっぱなしだったよ。レコードの片面を丸ごと占拠してしまいそうな曲もあった。マイルス・デイヴィスやファンカデリックを思わせるようなね。各ミュージシャンがそれぞれの持ち味を発揮して、スタジオのムードは目まぐるしく変わっていった」。ロサンゼルスでも異なるミュージシャンたちと3日間のレコーディングを行ったホワイトは、その後自宅のスタジオで素材のエディットや追加録音を繰り返した。


Photo by David James Swanson

そのプロセスは、マイルス・デイヴィスの『ビッチェズ・ブリュー』の制作過程と類似している。そうして誕生した『ボーディング・ハウス・リーチ』は、サイケデリア、ジャズ、火花を散らすようなギター、そしてデジタルなプロダクションが渾然一体となった、彼のキャリア史上最も型破りな作品となった。「曲の尺を削らないといけなかったのはつらかったけど、あくまで2018年ならではの作品に仕上げたかった」と話す。「極めてモダンな作品だと自負してる。パンクもヒップホップもロックンロールも詰め込んだ、2018年のタイムカプセルのようなアルバムにしたかったんだ」

Translated by Masaaki Yoshida

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