ケヴィン・シールズ日本独占インタビュー後編、「老い」とは別バージョンの自分になる感覚

Takanori Kuroda | 2018/02/06 13:04

| ケヴィン・シールズ、2013年2月のマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン大阪公演にて(Photo by Takanori Kuroda) |

90年代初頭に巻き起こったシューゲイザー・ムーヴメントの代表格として知られるマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。彼らがクリエイションに残した2枚のアルバム『Isn’t Anything』(1988年)と『Loveless』(1991年)が、今年1月18日に180グラム重量盤アナログレコードで再発された。MBVは今年の夏に再来日が決定しているばかりか、年内に新作リリースも予定されているという。そこでRSJでは、ケヴィン・シールズへの日本独占インタビューを実施。『シューゲイザー・ディスク・ガイド』監修/『マイ・ブラッディ・ヴァレンタインこそはすべて』の著者である黒田隆憲が、バンドの最新モードについて直撃した。

インタビュー前編では、『Isn’t Anything』と『Loveless』の制作エピソードやアナログ・リマスターへの思いをたっぷりと語ってくれたケヴィン。この後編では気になるマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(以下MBV)の新作や、8月17日(金)のSONICMANIA 2018で実現する再来日公演に向けた意気込みなどを紹介する。

次の新作は、これまでになく自由に作っている

─今年リリース予定の新作についてもお聞かせください。今の時点では7曲くらい収録されたミニアルバムになる予定だとか。レコーディングは1年くらい前から始めて、今回のリマスター・プロジェクトにかかりきりになったため一度中断し、ここ数ヶ月でまた作業が再開したと聞きました。

ケヴィン うん、そんな感じだよ。

─今の時点で、他のメンバーはどんなふうに関わっているのですか?

ケヴィン この1年ほどは、ずっとコルム(・オコーサク:Dr)と2人で作ってる。すごく実験的な作り方をしているんだ、特にメロディラインや曲の構成に関してはね。まず、普段の生活の中で色々浮かんできたアイデアをPro Toolsに入れておいて、昨年の夏あたりからアナログ・テープにレコーディングしていくという作業に入った。とにかく、流れに身を任せながら作業してみようと思うんだ。さっき(前編)も言ったように『Loveless』のときは、頭の中にあるイメージをトレースしていくような作業が多かったのだけど、今回は実験的な要素を意識的に加えた。「流れに身を任せて作っていく」という意味では、今回どんな結果になるのかまったく分からない(笑)。ただ、これまで以上に自由に作っているから、絶対に満足のいくものになるし、今までにはない新しいものができるんじゃないかなと言う期待感があるよ。 

─そういえば2016年の9月に、ビリンダ(・ブッチャー:Gt&Vo)から「もうすぐMBVのレコーディングが始まるかも」とメールを貰ったのですが、今の話だとまだ彼女やデビー・グッギ(Ba)は、スタジオには入っていないのですね?

ケヴィン ビリンダがスタジオ入りするのは2カ月後くらいかな(※この取材は1月下旬に行われた)。基本的に彼女はヴォーカル録りしかしないから。

─前作『m b v』は、確か1997年くらいに録りためていた素材が中心でしたよね。新作は、ここ最近の書き下ろしということで、言いたいことなども年齢的に変わってきました?

ケヴィン どうかな。「変化」ということで言えば、常に変化しているとは思うよ。言いたいこともどんどん変わってきている。最も変わったことは……うーん、そうだな、年齢的なことでいうと、エネルギー的なパラドックス状態というか。やる気はあっても体がついてこなかったり、またはその逆も然りだったりという感じ。そういうことも含めて面白いなと思うんだよ。それは、50代という年齢が特別に面白いというんじゃなくて、どの年齢にも面白さみたいなものがある。そしてそれは、自分が50代になってみて分かったことかも知れない。

─確かに、50代の心境は40代の時には想像つかないですものね。

ケヴィン そう。ともあれ「老い」というのは、しぼんだ風船が空からゆっくり落ちていくような感覚なのかもと思っていたけど(笑)、今はそんな気分でもないんだよ。これまでとは「別バージョン」の自分っていう感じかな。



─かつてMBVの楽曲「Soon」を「ポップの新しいスタンダードとなるだろう」と絶賛したブライアン・イーノとコラボレーションしたインスト曲「Only Once Away My Son」を
昨年10月に配信しましたよね。この時の作業は、新作にどのくらい影響を与えていますか?

ケヴィン 今作っているミニアルバムの構想というのは、ブライアンとの作業が始まる1年くらい前から何となく頭にあったものなんだ。だから、ブライアンとのコラボによって、本作が大きく変わったということはないね。ただ、彼との仕事にはものすごく感銘を受けたよ。言葉で説明するのは難しいんだけど、「開眼した」っていう感じ(笑)。とにかく、「やってよかった」と思えるプロジェクトだったな。これから自分がやるものに関しては、何かしらの影響が出てくると思うね。具体的にどんな形になるかは、今のところまだ分からないけど。
Translated by Kazumi Someya

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