デビューアルバムから11年、MGMT流「過去」との向き合い方

ANDY GREENE | 2018/02/13 11:55

| MGMTのアンドリュー・ヴァンウィンガーデン(左)とベン・ゴールドワッサー(右)(Photo by Ryan Lowery for Rolling Stone) |


親しみやすいフックとユーモラスなリリックに満ちた新作『リトル・ダーク・エイジ』は、『オラキュラー・スペクタキュラー』以来最もポップなアルバムだ。冒頭の『シー・ワークス・アウト・トゥー・マッチ』では、完璧な人生という幻をソーシャルメディア上で作り上げようとする人物を揶揄し(あんたのセルフィーにイイね!するのはもうウンザリ/直感に従うべきだったわ)、Time Spent Looking at My Phone(ケータイの画面とにらめっこした時間)の頭文字をとった『TSLAMP』では、現代人の生活習慣を風刺してみせる。「あれは僕自身のことを歌った自虐的な曲さ」。ヴァンウィンガーデンはそう話す。「80年代のエレクトロビートと、マドンナの“ラ・イスラ・ボニータ”と、マーゴ・ガーヤンのコーラスを組み合わせたような曲なんだ。誰かがそう批評してくれたら嬉しいんだけどな」

収録曲の半分程度は、2016年にドナルド・トランプが大統領に選出される以前に書かれたものだ。「絶対にありえないことが起きてしまった、そう思ったよ」。ヴァンウィンガーデンは当時を振り返ってそう話す。「でもこれが現実なんだよな」。しかし意外なことに、その衝撃的な出来事の直後に、2人は「ミー・アンド・マイケル」「リトル・ダーク・エイジ」を含む、アルバム中もっともアッパーな曲群を書き上げている。ヴァンウィンガーデンはこう話す。「世界が悪に乗っ取られたことで、僕らはよりポップな曲を書きたくなったんだ」

「ジェームス」は、彼らのツアーバンドでギタリストを務めるジェームス・リチャードソンに捧げられた曲だ。「僕はいつだって家にいる/いつでも遊びに来いよ 朝飯くらいは出すからさ」ヴァンウィンガーデンは同曲でそう歌っている。「ミー・アンド・マイケル」も友人に向けた曲だが、その内容については多くを語ろうとしない。「君の解釈次第さ」ヴァンウィンガーデンはそう話す。「僕には僕自身の解釈があるようにね」

その一方で、最終曲「ハンド・イット・オーヴァー」には、「そのジョークはもう使い古された/王様の登場だ」という、極めてストレートな一節が登場する。「あれはまさにトランプ大統領誕生についての曲だよ」。ヴァンウィンガーデンはそう認める。悲しみを誘うジョークやダークなムードが時折顔を出すものの、アルバムは全体としてポジティヴな内容だと彼らは主張する。「タイトルの『リトル・ダーク・エイジ』っていう言葉は、むしろ希望を感じさせてくれると思う」。ヴァンウィンガーデンはそう話す。「やや暗い時代であることは事実だからね。アルバムが『ハンド・イット・オーヴァー』で幕を閉じるのは、それがずっと続くわけじゃないっていう展望を示したかったからだよ」

アルバム制作中、ラジオでかけてもらえる曲を書こうと意識したことはなかったという。「ラジオでもてはやされると、僕らは居心地悪く感じるんだ」。ゴールドワッサーはそう話す。「ラジオは滅多に聴かない。自分の好きな新しい音楽が流れることなんてほとんどないからね。ロクでもないものばっかりさ。レコード会社は“ミー・アンド・マイケル”を一番気に入ってたけど、ああいうシンプルでポップな曲を作ることは、必ずしも僕らが意図したことじゃなかったんだ」

Translated by Masaaki Yoshida

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