有名ロックスターたちの引退ラッシュ、突然引退を宣言する理由とは何か

エルトン・ジョンを始め、多くのロックレジェンドが引退宣言をした。(Rolling Stone)

エルトン・ジョンからポール・サイモン、ニール・ダイアモンドまで、ベテランたちがそれぞれの花道の飾り方を考えている。ローリングストーン誌名ライターのロブ・シェフィールドが、有名ロックスターたちの引退ラッシュを解説しながら、ロックの未来への影響を語った。

ロックの歴史の中で、これほどまでに引退ラッシュが起きたことはなかった。わずか数週の間に、何人ものロックンロールのレジェンドが栄光の道から下りることを宣言した。エルトン・ジョンは、『フェアウェル・イエロー・ブリック・ロード』ツアーを最後に、最高のショーマンに幕を引くことを発表した。ポール・サイモンは、ロンドンのハイドパークを自分のラストコンサートの場所に決めた。ニール・ダイアモンドは、50周年記念ツアー中にパーキンソン病と診断され、ドクターストップにより残りの日程をキャンセルした。ラッシュのギタリスト、アレックス・ライフソンは明かす。「今後のツアーやレコーディングの予定はない。基本的にバンド活動は終わっているんだ。41年やってきて、メンバー全員がもう十分だと思ったよ」

「もう十分だ(enough)」という発想はロックンロールでは常にエキゾチックだが、それと同時に多くのレジェンドたちからサヨナラを言われるのは、間違いなくショックだ。我々は、ロックスターたちの引退ラッシュを目撃するという歴史的瞬間にいる。引退を表明したベテランたちは、魔法のパワーを失った訳ではない。2017年にニール・ダイアモンドの姿を見たラッキーな人たちは、彼の足取りがしっかりしていたことを知っているだろう。もちろん、ポール・マッカートニー、スモーキー・ロビンソン、ボブ・ディラン、フリートウッド・マックなど、80歳近くになってもなおステージ上で輝くツアーの強者たちもいる。しかしポール・サイモンに言わせると、引退を決めて「なんだかホッとした」という。去りゆく老兵たちは、歴史上存在しなかった“ロックンロールの引退後”をこれから作っていこうとしている。

“フェアウェル・コンサート”といえば、その多くがマユツバものだった。高価な決別の儀式は、ショービズの世界の典型的なトリックといえる。シェールのフェアウェル・ツアーは言うまでもないだろう。しかし、今回は事情が違う。「シェールのような格好は好きだが、僕は彼女とは違う」とエルトン・ジョンは会見で語った。「これで終わりだ」と言う彼は、冗談を言っているのではなさそうだ。「僕の子どもたち、夫、家族が人生の中での優先事項になったんだ。引退後は家で過ごしたい」

Translation by Smokva Tokyo

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