フリースタイルダンジョンの企画から日本語ラップのメソッド書籍化まで、Zeebraを突き動かす使命感

Rolling Stone Japan vol.01掲載/STYLE|Zeebra(Photo by UG Yuji Kaneko Editor by Toshiya Ohno Styling by Masahiro Ogura Hair & Make-up by MEI)

ヒップホップ・レーベル「GRAND MASTER」、テレビ番組『フリースタイルダンジョン』、夏フェス 「SUMMER BOMB」、ヒップホップ専門ネットラジオ局 「WREP」、WREPと連動したお店「DJ BAR & Lounge WREP」、クラブとクラブカルチャーを守る会と風営法改正の動き、渋谷区観光大使ナイトアンバサダー、慶應義塾大学の非常勤講師、書籍の刊行などなど……最近ではアーティストとして以上に、ヒップホップ・アクティヴィストとしての活躍が目覚ましいZeebraに話を聞いてみた。

ー今の日本のヒップホップの盛り上がりは、それこそZeebraさんが立ち上げた『フリースタイルダンジョン』、WREPの影響が大きいわけですけど、こういったものを手がけることになった経緯を教えてください。

自分の今までのキャリアのなかで、そもそも初めから全体を盛り上げる意識で動いてはいるんですよ。例えば、俺が初の武道館ライブをやったときは、できるだけいろんなヤツをフィーチャリングでステージに上げたいなと思ったり。B-BOY PARKのオーガナイズをやったときは、みんなが求めるヒップホップ・フェストとは何かというものをやろうとしたり。その前の2000年代の頭は、みんながそれぞれのスタンスで、とりあえず行けるところまで行くぜっていう意識で動いていた時期だったと思う。正直、カッコいい子が出てくれば勝手に盛り上がるものなんだけど、その盛り上がりを持続させられるか? その盛り上がりをどれだけ大きくできるのか?っていうのは、やっぱり誰かが仕掛けてたりしないと連鎖反応は起きない。下手したら、そこに変な人が乗っかってきて、糸が切れた凧みたいになることだってある。俺はガキの頃から、「アメリカのヒップホップ、いいなあ。みんなこうだしなあ。あんなものもあるしなあ」ってことをひたすら思ってたんですよ。大きな会場でライブをやりたい。有名なアーティストとコラボをしたい。そういうところから、自分が裏方に入って、大きなイベントをやりたいとか、そういう意識の方にだんだんシフトしていった感があるのかな。一時、日本のヒップホップ・シーンは真冬の時代だったじゃないですか。どこかに突破口はないかなと思って、いろんなことをああでもない、こうでもないと考えてて。可能性があるところにはすぐに話をしに行ってたわけですよ。

そこでたまたま『BAZOOKA!!!』という番組が始まって、スタッフから「ヒップホップを多めにやるので手伝ってください」って言われた。中高生相手に何か企画ができないかという話をしていく中で、スタッフから「MCバトルはどうですか」っていう話が出てきて。「高校生でMCバトルはどうかな? 多少はできると思うけど、問題はそれだけ今人数がいるかどうかだね。まあ一回やってみようか」ってなってやってみたら、T-Pablowなんかが出てきてしまって。こりゃ面白いぞとなって。それでやっていくとどんどんいい感じになっていって。やっぱり10代が騒がないと世の中のムーブメントは起きないんだっていうことを、久しぶりに痛感しましたね。BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権から一気に盛り上がって、若い子のラッパーも一気に増えていって。MCバトル人気でさらにヒップホップが全国的に広がっていった。でも1年に1回のMCバトルのイベントで優勝して200万円をもらったとしても、それだけでは食えないよなと思って。しかも勝てるのは一人だけだし、こいつら高校卒業したら頭打ちだなと思って。

盛り上げてる責任としても、何か企画を立てなきゃなと思って、そこからフリースタイルダンジョンの草案の企画書を、初めはイベントのイメージで作ったんです。作ってる段階で藤田(晋)くんから連絡があって。「テレビ朝日でサイバーエージェントの枠があるんですけど、そこに高校生RAP選手権を持ってこれないですかね?」って。それは実現しなかったんだけど、そこにフリースタイルダンジョンの企画を投げたら、ソッコー決まって。アイデアもオリジナルから変わっていって、ラップ四天王を倒すのはどうかな?ってなって。「四天王を倒したらラスボスが出てくるのはどうか?」って誰かが言うから、「ラスボスって誰だ? 般若しか浮かばないんだけど」って言ったら盛り上がって。ソッコーその場で般若に電話したら、般若も二つ返事で「面白そうじゃないですか」ってなった。そこからスタートしたんだよね。あと、高校生RAP選手権とフリースタイルダンジョンの間に、レーベルのGRAND MASTERの立ち上げ、フェスのSUMMER BOMBの立ち上げもあった。そこで自分も裏方をやるぞっていう意識にガッツリなったのかな。何よりも、T-Pablowたちが出てきて、「ついに待ってた逸材が現れた」と思って。あれはデカかったな。あれがなかったら、その後のものはなかったかもしれない。そこで肝が座った感じですね。

Rolling Stone Japan vol.01掲載/STYLE|Zeebra(Photo = UG Yuji Kaneko Editor = Toshiya Ohno Styling = Masahiro Ogura Hair & Make-up = MEI)

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