『フルメタル・ジャケット』俳優R・リー・アーメイ死去、享年74歳:ハートマン軍曹は本物の教官の姿だった

元米海兵隊下士官で『フルメタル・ジャケット』で教練教官を演じたR・リー・アーメイが74歳で他界

ベトナム戦争に米海兵隊下士官として実際に参戦し、『フルメタル・ジャケット』で教練教官を演じたR・リー・アーメイが肺炎に伴う合併症で74歳で他界した。

スタンリー・キューブリック監督作品『フルメタル・ジャケット』で教練教官を演じた、元海兵隊下士官のR・リー・アーメイが4月15日、74歳で他界した。

長年アーメイのマネージャーを務めたビル・ロギンがアーメイのFacebookページで死去を公表した。「深い悲しみと共に残念なお知らせをしなければなりません。R・リー・アーメイ(愛称ガニー)が肺炎に伴う合併症で今朝亡くなりました。私たち全員が彼の死を悼んでいます」と、ロギンが投稿した。

ロギンの投稿は次のように続いた。「誰もが予測していない突然の喪失です。彼は多くの人にとって大切な人でした。生前の彼が、軍人や兵士たちに対して行った数多くの無私の善行がどれだけのものか、私たちもその全容を知ることはできません。彼が映画で演じた象徴的なキャラクターは消えることなく永遠に生き続けることでしょう。フルメタル・ジャケットの教官ハートマン軍曹は厳しく、信念を持った男でした。一方、現実のR・リー・アーメイは家庭的な男で、優しく思いやりに溢れており、周囲の誰に対しても寛大でした。そして、助けを必要としている人たちには特に心を寄せていました」と。

1944年、米カンザス州エンポリアで生まれたロバート・リー・アーメイは1961年に入隊し、ベトナム戦争中に新兵訓練係の軍曹となった。後に戦地に派遣され、ベトナムで14ヶ月間過ごした。二等軍曹に昇格したあと、アーメイは健康上の理由で1972年に除隊し、その後フィリピンのカレッジに進学した。そこでフランシス・フォード・コッポラが『地獄の黙示録』を撮影していたと、ハリウッドのエンタメニュース・サイトDeadlineが伝えている。

映画に出演する以前のアーメイは、『地獄の黙示録』(この作品ではヘリコプター・パイロットとしてエキストラ出演もしている)や、『The Boys in Company C』(日本未公開)など、戦争をテーマにした作品のコンサルタント兼テクニカル・アドバイザーをしていた。1987年の『フルメタル・ジャケット』でも同様にコンサルタントとして雇われたのだが、教官役のハーマン軍曹を演じる俳優を見つけられなかったキューブリックが、元海兵隊員のアーメイをオーディションすることにした。。

「結果がどうなろうと、一番の目的は新兵訓練教官を本物の教官と同じように演じることだった」と、ヒストリー・チェンネルのミリタリー番組で役柄についてアーメイが語っている。「1965〜66年にあの国(ベトナム)にいた教官に確認しても構わない。あれが本当の教官の態度だった。嘘偽りない姿だから」と。

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE