ジョージ・W・ブッシュ元米大統領がU2のボノにメダルを授与

ジョージ・W・ブッシュ・メダルを授与されたボノ(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

米国現地時間4月19日、米テキサス州ダラスにあるジョージ・W・ブッシュ大統領センターで、U2のボノが元米大統領からメダルを授与された。

同センターの5周年を記念して催された式典で、長年にわたりアフリカ諸国のHIV・エイズ危機を訴えてきた点を評価され、「第一回 ジョー・W・ブッシュ・メダル」の受賞者となったボノ。会場ではジョージ・W・ブッシュ元米大統領とボノのやり取りがあり、その模様はライブ配信された。

貧困国のエイズ危機を救済するための資金援助、また関連団体や組織に継続的な支援をしてほしいと、2002年にホワイトハウスを訪れたボノは当時大統領だったブッシュに陳情を行っている。

「この賞を受賞するのはこの上なく光栄なことだ。そして、医療の歴史のなかで最も偉大な保険介入を行ったあなたのリーダーシップを称賛するために私はここに来た」と、ボノはブッシュに告げた。

「多くの人は知らないかもしれないが、米大統領緊急エイズ救済計画(PEPFAR)で救われた人が1300万人いることと、これに世界救済基金で救われた人を加えると、合計2100万人の命が救われたことになる。この二つはあなたがリーダーとして始めたことだった。私はここでそれを称賛したい」と。

それに対して、ブッシュは次にように述べた。「本当のところを明かすと、君が興味を持ってくれなかったら、あれ(PEPFAR)は実現できなかっただろう。君と初めて会ったとき、君が提示した統計データがあまりに多くて、まるでCIAのエージェントかと思うほどだった」

そして、「ボノについて人々が知るべきことを教えよう。彼は尊敬に値する人間だとみんなに告げたい。この男は巨大なハートを持っていて、見るからに才能豊かだが、人間が生きるための条件や環境について心の底から心配している。そして、膨大な時間とお金を人々の生命を救うために費やしている男だ」と、付け加えた。

ボノはONEキャンペーンとアメリカの納税者たちの支援も讃えた。しかし、同時に、現在のトランプ政権下のホワイトハウスが、アフリカ諸国におけるエイズと貧困の撲滅を今後も継続する確証がないことに対する懸念も吐露した。

「エイズのようなウイルスを退治する場合、ウイルスの後手に回ってしまっては絶対に勝てない。つまり、我々が過去に出してきた成果ですら無効になる可能性があるということだ」とボノは警告した。

「これは月にロケットを飛ばすことと同じだった。ブッシュ大統領はエイズと貧困対策においての“月への有人飛行”を実現する試みを開始したと言える。そして我々は今、もうすぐ月に降り立つところまで来ている。しかし、現アメリカ政府がこれから手を引く話し合いをしているため、厳しい問題に直面しているのだ。我々は、感情に流されないようにしながら人命を救う協議を手堅く行わなければならないと思っている。月に到着したのに月面にアメリカ国旗を立てないで帰ってくるのは、アメリカ人らしくないだろう」と説明した。

ボノはこのメダル授与が原因でU2をクビになりそうで怖いと冗談を言うのも忘れなかった。それというもの、U2の他のメンバーは、現在カナダのモントリオールで、もうすぐ始まるツアーのリハーサル中なのだ。ボノはリハーサルを抜け出してメダルをもらいに来たわけだ。「裏口からこっそり出てきた」とボノはブッシュに打ち明けた。また、今週初めにバーバラ・ブッシュが亡くなったことを受けて、ボノはブッシュ一家へお悔やみも伝えていた。



Translated by Miki Nakayama

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