ONE OK ROCKが2018年に体現した過去と今と未来 ワールドツアー最終日・福岡公演ライブレポ

豊かな低音を鳴らすRyotaのベースがドライブする「キミシダイ列車」、“shout it out now”や“cry out”、さらには“So we say we want change and never be the same and yeah”の“yeah”の部分など、オーディエンスの声も一緒になって盛り上げる「Cry out」、ギターのフィードバックの余韻の中で16ビートのリズムと8ビートのリズムが行き来する「The Way Back」、Toruの切り裂くようなソロとTomoyaの流麗なドラミングが曲のエネルギーを高めていく「Bedroom Warfare」。ONE OK ROCKの音楽的な肝はTakaのヴォーカルだが、それを分かった上で他のメンバーもビシッとキメるところをキメていく、そんなバンドの信頼関係が透けて見えるアンサンブルを堪能した。

MCを挟んだ後、Toruのギターに導かれて披露された「Clock Strikes」ではオーディエンスが頭上に手をかざし、“How will we have? Believe that time is always forever”の箇所では「福岡の声、聴かせてください」というTakaの合図とともに客席とステージが一つになってシンガロング。他の曲にも言えることだが、原曲のメロディに沿いつつ、随所でライブならではのヴォーカルのアレンジを加えたり、積極的にコール&レスポンスの機会を作るなど、お互いの「声」でTakaとファンが対話しているかのような感覚がある。

2017年リリースのアルバム『Ambitions』は広い視野で捉えれば、ポップ・ミュージック的な要素も十分に感じられるキャッチーさを兼ね備えているが、それを証明したのが続いて披露された「One Way Ticket」。自然と手拍子が起こり、紙吹雪の演出も含めてハッピーなムードを漂わせていた。ただ、彼らの音楽には非現実的な体験ができるエンターテインメントやパーティ・ミュージック、というところで終わらせないリアルさがある。「今日も俺たちはステージの上で歌っているぞ!」と「キミシダイ列車」のときにTakaは叫んでいたが、この曲の歌詞に“過去の自分が今僕の土台となる”とあるように、彼らの歌は常に「過去」があって「今」があって「未来」がある。その時間の流れの中で我々は生きているんだという実感を味わわせてくれるものであり、ONE OK ROCKのライブはそれを体感できる場所でもあるのだ。そんなことを感じつつ、セットリストの前半が終了。

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