メタリカのカーク・ハメットがナップスター騒動を回想「俺たちはリスクを取って正しいことをした」

ハメットは、ここ最近の音楽業界に対してある程度の楽観的な見方をする一方で、著作権侵害行為が従来のビジネスモデルを完全に壊したと確信している。

「コントロールできないくらい巨大な怪物になってしまった」と、2014年にノイジー誌に語っている。「俺たちの音楽が存続し、人々が俺たちの音楽や言うことへ耳を傾けてくれるように、ポジティヴに考え、受け入れるのがベストだ。我々は日々、変化に対応する方法を学んでいる。すべての著作権侵害やインターネットに関わる問題がレコード業界を破壊し、音楽やサウンドさえも変えてしまった。誰もがどんなものでも簡単にレコーディングして配信でき、“これはいい!”とか“これはダメだ”などと安易に評価できる現在の状況は、最高のミュージシャンやバンドの質を高めるモチベーションにはならないだろう。かつては、ミュージシャンやバンドとしてリスペクトされるには相当の努力が必要だった。今やアルバムを売り、ライバルたちと素晴らしい作品を競い合うという状況がまったく見られない」

「誰もがアルバムをただ放り投げて、サイバーワールドに浮かべているようなものだ」と彼は言う。「支持するバンドの下に人々が集結した時代が懐かしい。アルバムのリリースは大きな話題となる出来事で、レコード・ショップへ行って売れ行きを見たり、評判を聞いたりした。“このアルバムはもう聴いたか?”、“いいや、まだだ”などというショップでの会話も、インターネットのせいですべてなくなってしまった。インターネットはとても便利な一方で、あらゆるものをダメにしてしまった」

一方でメタリカのドラマー、ラーズ・ウルリッヒは、バンドのかつてのアグレッシヴな戦略をやや悔いている。「とても直情的なところが俺の好きなメタリカだ」と、2016年に彼はローリングストーン誌に語っている。「後先を考えない直感的な行動が、たまに裏目に出ることもある。クリエイティヴな環境において、それは素晴らしい状況だ。でもナップスターの時の俺たちは、“あいつらはけしからん! あいつらを懲らしめてやろう”という感じで、暗闇の中で突然ヘッドライトに照らされた鹿のように、ひとりだけ注目の的になってしまったんだ(笑)」

「当時の俺は、ナップスターの掲げる“自由”が人々に対して持つ意味を過小評価していた」と彼は付け加える。「自分がやりたくなくても、時には飛び出す前に石橋を叩いてみることも必要だと思う。最低でも、どの辺りに着地するかは知っておかないとな(笑)」



Translated by Smokva Tokyo

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE