デヴィッド・リンチが語る、映画『ブルーベルベット』裏話とスマホ時代

フェスティバル・オブ・ディスラプションの会場となったブルックリン・スティールで語るデヴィッド・リンチ(Courtesy of the David Lynch Foundation)

映画監督のデヴィッド・リンチは、初めてニューヨークで開催したフェスティバル・オブ・ディスラプテョンで、過去の作品『ブルーベルベット』、『ツイン・ピークス』について、そしてヘヴィメタルやスマートフォン時代について語った。

「完璧だ」 音楽施設のブルックリン・スティールのバックステージで映画監督のデヴィッド・リンチは、初めてニューヨークで開催したフェスティバル・オブ・ディスラプションで目にした全てを思い返していた。アシンメトリーの独特なリンチ・ヘアの彼は、トレードマークであるブラック・スーツに身を包み、折りたたみ椅子から身を乗り出すようにしてインタヴューに応じた。相手の話を熱心に聞き入り、目を大きく見開いて話す。リンチは、間もなく公開される半回顧録『Room to Dream』の紹介トークと、ショートフィルム『What Did Jack Do?』の米国でのプレミア上映を終えたばかりだった。ショートフィルムは、彼が2014年に制作した作品である。彼の笑顔を見ただけで、この週末のイベントに十分満足していることが伺える。

2日間のフェスティバルではまた、アニマル・コレクティヴ、フライング・ロータス、ジム・ジェイムズ、エンジェル・オルセンらがパフォーマンスを繰り広げた。さらに、彼の代表作のひとつであるアヴァンギャルドなミステリー映画『ブルーベルベット』の上映と併せ、カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、ナオミ・ワッツら、リンチと長く親交のある俳優たちとのトークも行われた。2018年10月に本拠地のロサンゼルスへ戻って開催される予定の本イベントは、控えめではあるがデヴィッド・リンチ・ファウンデーションの資金集めも兼ねている。同団体は、危険に晒されている人々を、超越瞑想法を通じてサポートしている。エンターテイメントと救済を融合するというリンチのアイディアから、同フェスティバルが実現した。

「人々に楽しい時間を過ごして欲しい、というのが私の第一の願いだ」とリンチは、ローリングストーン誌に語った。「そして、超越瞑想法を実践することのメリットを認識し、いくらかでも知識を得てもらえれば、と思う」

ーこの週末のイベントでは、『ブルーベルベット』のほかに、サンドラ・ミラーが監督を務め、ジョン・マルコヴィッチが過去のリンチ作品に登場した複数のキャラクターを演じる『Psychogenic Fugue』も上映されました。マルコヴィッチはかつて、『ブルーベルベット』のフランク・ブース役に興味を示していましたが、結局はデニス・ホッパーが演じることとなりました。

それは知らなかった。ジョン(マルコヴィッチ)なら興味を持ちそうだな。でも間違いなくデニス・ホッパーが適役だった。

ーデニスには多くの演技指導をする必要があったでしょうか?

デニスは誠実に対応してくれた。彼は出演前に私へ電話してきて、「僕がフランク・ブースをやるべきだ。僕自身がフランク・ブースそのものだから」と言うんだ。良い知らせと悪い知らせは同時にやって来るものだ、といつも感じる。

ーでは撮影は楽しかったのではないでしょうか。

ファンタスティックだった。

ーイザベラ・ロッセリーニは、『ブルーベルベット』で彼女演じるドロシーが赤い靴を履いているシーンはカットされた、と話していました。そのシーンは、『オズの魔法使い』を意識したものだったのでしょうか?

そう、ときどき起きるんだ。なぜかわからないが。本当に不思議な映画だ。何かしらあるんだろう。

ー映画の幻想的な特徴と関係があるのでしょうか?

正直に言って、それが何だかわからないが、「家が一番(There’s no place like home.)」という(オズの魔法使いにおけるドロシーの)セリフとは関係があるのだろうね

ーアイディアが浮かぶ時、夢がどのような役割を果たしているのでしょう?

そんなに関係はない。白昼夢は除いてね。夜見る夢からアイディアを得ることは非常に稀だが、ドリーム・ロジックは好きだ。そして映画こそがドリーム・ロジックを見せてくれる。

Translated by Smokva Tokyo

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