デイヴ・グロールが語る、ワールドツアーとニルヴァーナ再結成ライブエピソード

―「ソニック・ハイウェイズ」の第2シーズンはどうなっているのですか?

それはだな、6年前からずっとやっていて、今は……って冗談だよ。この企画はいつでも門戸が開かれた状態さ。それにあのシリーズから派生したこともとても多かった。今ではアメリカ国内の子どもたちが、自分の町を舞台にした自分たちのソニック・ハイウェイズを作っているしね。俺も第2シーズンのコンセプトはあるから、いつか実現するよ。

―ニルヴァーナがロックの殿堂入りを任命された夜、あなたとクリスがブルックリンの小さなクラブでニルヴァーナの曲を演奏するオールスターライブを開催しましたよね。その模様を映像に収めていたのですが、あれはどうなったのですか?

どうなったんだろうね。あのライブをするって知ったとき、自分の制作会社に電話して「これは撮影しないとダメだ」って伝えたんだ。そして、会場にカメラを持ち込んで、その映像をどうするのかを決めずに撮影した。でも、あの夜を記憶の中の思い出だけにしておくのは惜しいし、あの夜の映像はある。それに最高のライブだった。カタルシスを感じたし、関係者全員が夢のような出来事の一分だったと理解した夜だったと思う。演奏しながらキャリー・ブラウンスタインが最前列で全曲一緒に歌っているのが見えた。ジョーン・ジェットの後ろでドラムを叩いたし、「スクール」や「ペニーロイヤル」をJ・マスシスと一緒にプレイしたんだぜ。本当に最高のライブだったし、他のライブとは全く違うものだった。だから、いつか、みんな、あの映像を見る日が来るよ。

―例えば「エバーロング」などをプレイするとき、曲を作った当時の感情を思い出しますか?

ああ、もちろん。日によってバスの中で食ったピザのトッピングを思い出すこともあるし、明日洗濯しなきゃと考えていることもある。でも「エバーロング」のような曲を演奏し始めると、瞬時に過去に引き戻されるんだ。俺たちはロボットじゃないからな。俺がウッと詰まってしまう瞬間は、観客が俺と同じ感情で一緒に歌っている姿が見えるときだね。俺、曲の途中でクスクス笑っていることがあるけど、あれは観客の前で馬鹿みたいに泣き崩れないようにするためなんだよ(笑)。

―ニール・パートがリタイアしました。ゲディ・リーとアレックス・ライフソンがラッシュでドラムを叩いてほしいと言ってきたら、どうしますか?

たぶん「肉体的にも音楽的にもムリだけど、オファーしてくれてありがとう」って言うだろうな。ニール・パートというのは俺とは全く違う人種で、そもそもドラマーとしての種族が違う。俺はラッシュの楽曲のアレンジを知っているけど、例えるならニール・パートの後釜をメグ・ホワイトに頼んでいるってこと。メグは大好きなドラマーの一人だし、俺の娘もメグがお気に入りのドラマーだ。俺の娘は2種類の音楽をドラムでプレイする。ホワイト・ストライプスとAC/DC。俺は娘に「うん、お前のやっていることは正解だ」って言うね。

―最近クエストラヴと話しをしたら、彼はメグのことをとても褒めいていて、彼女がビートよりも少し前のめりで叩く叩き方がとてもユニークだと言っていました。

彼女はレコードを15秒聞いたら誰かわかるタイプのドラマーさ。これは俺の判断基準であり、俺にとっても常にチャレンジだった。ドラマーなら聞いた途端に、例えば「ジョン・ボーナムだ」、「チャーリー・ワッツだ」、「リンゴだ」、「スチュワート・コープランドだ」「メグ・ホワイトだ」ってわかるようなプレイを目指すわけだ。でも、これは本当に大変なことなのさ。自分の心に従う演奏しなきゃいけないってことだから。メグは最高だよ、マジで。本心でそう思っている。あのドアベルの歌とか(「マイ・ドアベル」)、ため息が出る。そうだろ? あれは大好きなドラムビートの一つだ。あれはクラシックだし、リフだ。だろ? 手にスティックを持って曲を作っているんだよ。マジで最高だ。

―最後にお聞きします。あなたのお母様のインタビューを読んだのですが、あなたが有名になったことで一番恐れていることが「マドンナが手をつけること」と言っていました。それをお母様から直接聞いたことはありますか?

うん、オフクロの口から聞いた(笑)。映画『イン・ベッド・ウィズ・マドンナ』(1991年)の頃だった。「彼女とデートしてほしくない」って。俺は「オフクロ、何だよ、それ! 心配ないから」って言ったよ。俺のオフクロはかなり面白い。母親は愛さなきゃダメだぜ。


Translated by Miki Nakayama

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