DJ YANATAKE:Apple Musicのアメリカのチャートを見ても、マジで50位くらいまで全部ヒップホップの楽曲で。だから、世界的にそういう方向なのかなとも思いますね。あと、他の音楽ジャンルに比べて、ヒップホップはネットやSNSの使い方も上手いなと思うし、その分、これまではブートレッグの音源もすごく多かった。でも、そこの見えなかった数字になってなかった分、ストリーミングの方で結果が出たということだと思います。ストリーミング・サービスは、ヒップホップにとって海賊版潰しという意味でも良かったと思う。
DJ YANATAKE:そうだね。これからは、ストリーミング・サービスにおいてもどうやってヒットを狙っていくか、そういうところもちゃんと考えていかねばならない局面にあると思いますね。特に日本は、まだCDをどう得るか?というところで止まっている気がする。例えばアメリカだと、同じアルバムでも<デラックス・エディション>として、2、3曲足した状態で再発表するケースもあって、それは、再度話題を作ってストリーミング上で再度再生回数を伸ばすための戦略なんです。
渡辺志保:海外と日本だと、コンテンツを享受する感覚にどんどん差が開いているのかなと感じてしまいますね。今、ケンドリック・ラマーがピューリッツァー賞の音楽部門を受賞して、チャイルディッシュ・ガンビーノも「This Is America」という強烈に風刺の効いた作品を発表しましたよね。カニエがトランプ指示の発言をしたという騒動もそうですけど、今のアメリカは、これまで以上に社会問題や政治的な発言をエンターテインメントのコンテンツとして発表することがとても自然になっているし、リスナーもそれを受け入れられる下地が出来ている。でも、日本はどうなんだろう?って。
ドナルド・グローヴァーという名義で俳優・脚本家・監督として、アメリカのエンタメ界においてマルチに活躍している歌手のチャイルディッシュ・ガンビーノ。彼が発表したMV「This Is America」が話題に。発表から1カ月で、再生回数は2.5億回に迫る。アフリカン・アメリカンの視点から、風刺と皮肉を銃規制問題や警察による暴行問題などを生々しく描いた内容は、多くの議論を呼んだ。まだ未見の方は、ぜひYouTubeでチェックされたい。
DJ YANATAKE:『ブラックパンサー』も、韓国が日本の3倍くらいの成績だったんだよね。このあたり、今後どうなっていくんだろうね。世界中で盛り上がっているにもかかわらず、あまりにも差が開いてるのが怖いなと思うよね。