ジミヘン『エレクトリック・レディランド』発売50周年記念ボックスセットの内幕

ジミ・ヘンドリックスの『エレクトリック・レディランド』が発売されて50周年(Photo by David Redfern/Redferns)

ジミ・ヘンドリックスの『エレクトリック・レディランド』50周年を記念し、豪華リイシュー版のデラックス・ボックスセットが発売される。このボックスセットにはデモ音源、アウトテイク音源、ライブ音源、ドキュメンタリーが含まれる。

半世紀前、後に生前に作った最後のアルバムとなってしまう『エレクトリック・レディランド/Electric Ladyland』に取り掛かったとき、ジミ・ヘンドリックスは至るところにインスピレーションを見出していた。「ジミは実験的なことばかりしていた」と、このアルバムのレコーディング・エンジニアの一人だったエディー・クレイマーが言う。あのとき、クレイマーはエレクトリック・レディー・スタジオのコントロールルームに座っていた。このスタジオは1970年に彼が他界する少し前にニューヨークでオープンしたヘンドリックスのスタジオだった。「彼と仕事をするようになったとき、(ヘンドリックスのマネージャーの)チャス・チャンドラーが『ここのルールは“ルールがない”ってことだ』と教えてくれた。しきたりや慣習のドアを蹴破って、ジミのサウンドと大胆な手法を実験した」とクレイマー。

彼らの実験結果は『エレクトリック・レディランド』の至るところに存在する。異世界のようにフェーズするサウンド・エフェクト(「これにはみんな大興奮だった」とクレイマーが言う)から、ヘンドリックスがジャムセッションを行うために招いた様々なミュージシャンの組み合わせまで多種多様だ。ヘンドリックスが招いたゲスト・ミュージシャンにはトラフィックのメンバーやローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズなどがいた。豪華さが増した新たなボックスセットは、このセットの成り立ちを見渡せる360度の眺めとともに、この秋リリースされる予定だ。この『エレクトリック・レディランド』デラックス・エディションに含まれるものは、リマスターされたオリジナル・アルバム、ハイレゾ・オーディオ、クレイマーがミックスした5.1サラウンドサウンド、デモ音源とアウトテイク音源を収録したディスク、アルバム発売1ヵ月前に行われたライブの音源、制作状況を記録したドキュメンタリーなど。


レコーディング・エンジニアのエディー・クレイマー

米国現地時間11月9日にリリースされるこのボックスセットは、3枚組CDとブルーレイ1枚のセットか、6枚組LPとブルーレイ1枚のセットで発売される。高名なエンジニアのバーニー・グランドマンがアナログのオリジナルテープからリマスターを行い、アナログ盤の音源はダイレクト・トゥ・ディスクで変換した。そして、ブルーレイには、「At Last … the Beginning: The Making of Electric Ladyland(原題)」と題されたドキュメンタリーに加え、5.1サラウンドサウンド・ミックスと24bit、96kHzにミックスされたオリジナルのステレオサウンドが収録されている。簡易版は各種ストリーミング・サービスで入手できる予定だ。

Translated by Miki Nakayama

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