ダフ屋疑惑を受け、チケットマスター社に集団訴訟

チケットマスターのHP(Photo by Shutterstock)

米国カリフォルニア州に本社を置くチケット販売会社チケットマスター社と親会社のライブ・ネーション・エンターテインメント社を「違法かつ不正業務行為」という理由により提訴。「まさか、チケットマスター社のようなチケット販売企業が、チケットの価格を釣り上げて大量にばらまく人々の黒幕だったとは、夢にも思わなかった」。

チケットマスター社とダフ屋の共謀疑惑――9月半ばにCBCとトロントスター紙が共同で行った捜査報道で明らかにされた――が浮上して以来、ファンによる集団訴訟が起きるのは時間の問題とみられていたが、ついにそれが現実のものとなった。

ヘイゲンズ・バーマン法律事務所は金曜日、原告代表のアラン・リー氏に代わり、カリフォルニア連邦裁判所に提訴。チケットマスター社およびその親会社であるライブ・ネーション・エンターテインメント社が「違法かつ不正業務行為」を行い、ライブイベントを愛するファンを犠牲にして、チケット販売業者に対し「不当な富をもたらした」として訴えた。

カナダの新聞が9月半ばに報道したところによれば、チケットマスター社はダフ屋業者が大量のチケットを入手できるよう密かに手を回し、彼らの二次販売の売上からリベートを受け取っていたという。これら二次販売は、チケットマスター社が管理する販売サイト上で行われていた。チケットマスター社が二次販売すること自体は合法だが、大量のチケット再販を認めることは、同社の社内規定に違反する。

集団訴訟の代理人を務める法律事務所の経営パートナー兼共同創立者のスティーヴ・バーマン氏は、このような取り組みは「巧妙に仕組まれた闇市場の手口」だと非難。今回提出された集団訴訟の原告範囲は、チケットマスターの二次販売マーケットに関わる再販業者からチケットを購入したことのあるすべてのアメリカ国民に及ぶ。

チケットマスター社の担当者にコメントを求めたが、その場での返答は得られなった。一方ヘイゲン・バーマン法律事務所の担当者はローリングストーン誌に対し、訴訟に関するプレスリリースを送付してくれた。

それとは別に、アメリカ上院議員のジェリー・モラン氏とリチャード・ブルメンタール氏は先週、Live Nation社のマイケル・ラピノCEOに書簡を送信。チケットマスター社の再販事業についての詳細説明を求め、「消費者に対し被害を与えたという疑惑」は「深刻なものであり、直ちに措置するべき」だと通知した。

「ダフ屋からチケットを買う、と聞くと、おそらくコンサート直前に会場の外で最後の手段として買う姿を思い浮かべるでしょう」と、バーマン氏は訴訟と合わせて発表されたプレスリリースの中でこう述べている。「まさか、チケットマスター社のようなチケット販売企業が、チケットの価格を釣り上げて大量にばらまく人々の黒幕だったとは、夢にも思わなかったでしょう」ヘイゲンズ・バーマン法律事務所では現在、TicketsNowやTicketmaster Verifiedなど、チケットマスター社の再販サイトを通じて二次販売チケットを購入した人々に、集団訴訟に加わるよう呼び掛けている。訴訟手続きを進めるためにには、判事が原告に含まれる者を定義する必要があるためだ。

カナダでは、チケットマスター社とライブ・ネーションに対し別の集団訴訟が検討されている。この場合は再販事業ではなく、チケットマスターのチケット値上げに対するもので、弁護士のトニー・マーチャント氏がこの6か月、訴訟に向けた準備を進めている。

Translated by Akiko Kato

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