全米の携帯に届く「大統領警報」は言論の自由を侵害している?

Ryan Bort | 2018/10/07 18:49

| 10月3日の東部時間午後2時18分、全米の携帯電話に「大統領警報」がテスト送信された。(Photo by Donaldson Collection/Getty Images) |

全米の携帯電話に向けて、10月3日の東部時間午後2時18分にトランプ大統領からテキストメッセージがテスト送信された。

厳密に言えば本人からではないが、アメリカの電話番号で登録している携帯電話のスクリーン上に「大統領警報(Presidential Alert)」が表示された。これはIntegrated Public Alert and Warning System(※国民に対する警告・警報の総合システムの意)のテストだ。

自然災害、テロ、その他の緊急事態に陥った場合、ホワイトハウスはこのシステムを使って国民に警告を発信するというわけだ。警告メッセージには「これは全国ワイヤレス緊急警報システムのテストです。行動を起こす必要はありません」と書かれている。続いて2分後にFEMA(米連邦緊急事態管理局)が全国のTVとラジオにメッセージを送って同局の緊急警報システムをテストする。このメッセージの受信拒否は不可能だ。

AMBER Alert(※誘拐事件の速報システム)や気象に関する警報で設定可能な警報の受信と拒否を、このメッセージでは設定できない点に異論を唱えている人もいる。9月末、ニューヨーク在住者3人が3日に実施されるテストを違法として連邦政府を訴えた。政治ニュースメディアのポリティコによると、これは「個人の電子機器を違法に独占する」結果となるため、言論の自由を侵害していると3人は主張しているという。

この警告メッセージを拒否する保証はゼロとはいえ、FEMAはこのメッセージを受け取るのは携帯電話の総数の75%と見積もっていて、メッセージの発信も30分程度だろうと考えられている。メッセージ受信時に通話中だったり、電波の届かない場所にいたり、電源が切れていたりすると、メッセージが届かない可能性がある。しかし、この警告メッセージのテストを行う目的は、将来的に「生命を維持するための重要な情報」を大統領が国民に伝える必要が出てきた場合に、アメリカの全国民のスマートフォン画面にそのメッセージを表示する方法を見つけることにある。

トランプ大統領が国民の携帯電話に直接メッセージを送る機能を悪用するかもしれないと心配な人がいるかもしれないが、恐れる必要はない。この警告メッセージの発信場所は大統領執務室だが、ドナルド・トランプが直接メッセージを書くわけではない。実際に文章を読めば、そのしっかりとした文章構成と正確な大文字の使い方で、彼が書いたものではないと気付くだろう。

トランプがフェイクニュースやロシア疑惑の捜査を激しく非難するためにこのシステムを使いたいと思っても、法的に彼にはその権利が認められていない。2016年、当時のオバマ大統領が、このシステムで「自然災害、テロ行為、その他の人為的な災害や惨事、公共の安全への脅威と関係のないメッセージを送信してはならない」という法律に署名している。

Translated by Miki Nakayama

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