前作『ザ・ブレイクスルー』(05年)では、シングル曲「ビー・ウィザウト・ユー」が全米R&Bチャートで15週連続1位という偉業を達成したメアリー・J.ブライジ。8枚目の新作アルバムで彼女が表現したテーマは“精神的な豊かさ”。幸せな結婚生活の影響もあるのだろう。今回のアルバムではもう少しソフトに、艶やかに、そしてエモーショナルな歌声を聴かせている。これまでに彼女は「ヒップホップ・ソウル・クイーン」と呼ばれてきた。このアルバムでは、その言葉に偽りがないということを改めて教えてくれる。 前作で彼女は13組のプロデューサーとともに16曲を作り上げたが、今回は9組に絞っている。リアーナの大ヒット曲「アンブレラ」で一躍ヒット・プロデューサーになったトリッキー&スチュワート&ジャジー・フェイ、マーク・ロンソンといった豪華なプロデューサーが参加。もともと彼女はコラボレーションに定評があった。06年にはシングル曲「ネヴァー・ゴナ・ブレイク・マイ・フェイス」でソウル・シンガーのアレサ・フランクリンと共演。ラッパーのリュダクリスとも共演したことがある。そういったコラボレーションの成果がこのアルバムにも影響を与えているはずだ。R&Bの世界で先頭を走ってきた女王の貫禄に圧倒される1枚だ。

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