現時点において、ミック・ジャガーにとっての唯一の足枷は、常にミック・ジャガーでいなければならない、ということなのかもしれない。最高に楽しいスーパーヘヴィが、その問題を解消する。ジャガーはフロントマンとしての役割を、ボブ・マーリーの息子であるレゲエの王族ダミアン・マーリー、ニュー・ウェーヴの生き残りデイヴ・スチュワート、不遇なUKソウル・ディーヴァのジョス・ストーン、そしてボリウッドの作曲家兼歌手A.R.ラフマーンという素晴らしく雑多な軍団に、マリファナのように回している。M.I.A.が音楽監督を務めた、国連総会の会場における授賞式のような規模のショーを想像してみてほしい。そうすれば、このドギツイ狂騒が一体何なのか、なんとなくわかるはずだ。

「サテヤメヴァ・ジャヤテ」で、ジャガーとラフマーンはケルティック・インディアンのフィドルに乗せながら、ヒンドゥ語の詞を交互に歌う。U2風シンセ・ポップ・ジャムの「エナジー」ではマーリーがリードを取り、ジャガーがラップする……ラップしてる! そしてサウンドも良い具合に熱を帯びている。「ワン・デイ・ワン・ナイト」におけるジャガーはブコウスキーの小説における傷ついた酔っぱらいのように登場し、ヴォーカルにめいっぱいヴィブラートを利かせている。時々、楽曲が十分に調理されていないように思えることがあっても、その魂は輝いている。「アイ・キャント・テイク・イット・ノー・モア」で、ストーンは「一体何が起こってるっていうの?」と叫んでいるが、それはアルバムをうまく要約している。その曲におけるジャガーの「オレはもうごまかしたくないんだ!」という叫びが、キースの赤裸々な回想録への答えなのかどうかはわからない。ひとつだけ確かなのは、『スーパーヘヴィ』は彼がストーンズの外で作り上げた、もっともワイルドな作品だってことだ。

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