カリフォルニア州、エル・チェリート出身のクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(C.C.R.)。  リーダーのジョン・フォガティの歌声は母音をやたらと強調し、子音を流すような、南部のブルースマン独特のシャウトが特徴的だった。デビュー作『クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル』(68年)はオールディ・ロックの進化型で、あまりパッとしなかったのだが、続くセカンド・アルバム『バイヨー・カントリー』(69年)で彼は自分の声を見つけた。彼の曲によれば、彼はバイヨー(淀んだ入り江)の生まれではないそうだが、「プラウド・メアリー」からはケイジャン(ルイジアナ州に住むフランス系移民)の息吹が、そのギターから感じられる。  また、バンドが継続的に成し遂げたこととして、サード・アルバム『グリーン・リヴァー』(69年)でイマジネーション豊かなサザン・ゴシックの世界を再現したことが挙げられる。タイトル・トラックではブギーの旋律に乗せて牧歌的な子供時代の思い出をそっと折り込み、「バッド・ムーン・ライジング」ではその後に訪れる不吉な予兆を感じさせる。当時のベトナム戦争の閉塞的な空気感を描いているのだ。これは彼らにとっての反戦のメッセージと言えるだろう。  69年、4枚目のアルバム『ウィリー・アンド・ザ・プアボーイズ』をリリースした頃から本人たちもリラックスしてアルバム制作に臨めるようになったそうだが、「フォーチュネイト・サン」のように怒りが原動力になった曲もある。階級社会への怒りを題材にした曲で、ボブ・ディランも喜びそうな内容だ。そして、C.C.R.の商業的成功のピークといえば、5枚目の『コスモズ・ファクトリー』(70年)だろう。ジョン・フォガティのソングライティングは、これを境に行き詰まっていく。70年の『ペンデュラム』を最後にジョンの兄で、ギターのトム・フォガティが脱退。残りのメンバーが去ってしまうのも時間の問題だった。そんな彼らの歴史に残された未完成のデモ音源やライヴ音源が、今回の40周年再発シリーズにはちりばめられている。

RECOMMENDEDおすすめの記事


MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE