エミネムが『リカヴァリー』というタイトルのアルバムの後に、更生についてのレコードを発表するとは、なんて素晴らしいアイデアだろう。バッド・ミーツ・イーヴルは、彼と疎遠になっていた同郷の友人、ロイス・ダ・ファイヴ・ナインとのコラボレーションだ。2人は90年代後半にいくつかのシングルをリリースし、それは『ザ・スリム・シェイディ』にも1曲だけ収録されていたが、ラッパー同士のつまらないケンカが彼らの仲を引き裂き、D12のメンバーの死と、地元の英雄MCプルーフによる説得が彼らを再び結びつけるまで、離ればなれになっていた。彼らの遅すぎたお披露目パーティーは、ヒップホップでは滅多にお目にかかれない、平静さという感情に基づいている。“お前の口にタマを突っ込んでやりたいって性癖のある、2人の独立した人間”と彼らはラップし、セントラル・パークでのサイモン&ガーファンクルほどではないにしろ、自分たちなりの愛嬌を振りまいている。

自分の日陰の時代に触れることは、エミネムを若者のようにロックさせている。“お前は俺がただくたばると思ってたんだろ/でも俺は早すぎて目にも止まらない自分のフロウに感電して、処刑されるのさ”と、彼は「ラウド・ノイズ」でツバを吐く。誕生したのは、(多くはD12のプロデューサーであるミスター・ポーターによる)軽快なビートに乗った、切れ味抜群のイカレたラップ・セッションだ。ロイスもまた、お飾りのためにここにいるわけではない。「ファーストレーン」で、彼は警官の制服を脱がし、ユニコーンの角に吊るしてやるとラップしている。

悪魔の集会の素行の悪さは、ひどく醜いものにもなる。『ヘル:ザ・シークエル』で虐待されている女性を数えるのは、8マイル沿いの差し押さえ物件を数えるのに似ているが、そこには本物の人間性もあるのだ。「ライターズ」において、ロイスは郵便局を定年退職した父親を助けるために復帰したと語り、ブルーノ・マーズがソウル・バラードのフックを届けてくれる。“俺は自分の街に鍵をかけて飛び出した/クワメ・キルパトリックのようになるために/そして俺はこんなに立派になった”と彼はラップする。シェイディ、ちょっと良い行いができたんじゃないか。

RECOMMENDEDおすすめの記事


MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE