ノー・ライン・オン・ザ・ホライゾン

本作の2曲目、「マグニフィセント」でボノはこう言明する。“俺は君たちに向かって歌うために生まれて来た/君たちに勇気を与えるしかなかったんだ”と。奇妙な低音で歌われた後、きらめくようなジ・エッジのギター、ベーシストのアダム・クレイトンとドラマーのラリー・マレンによる凄まじい轟きに乗せて、ボノは熱い囁きを披露する。やがて彼はどこへともなく宙を舞い、お馴染みのロデオ風の叫びを上げ、サビへと向かい、彼1人が“Magnificent”という言葉を楽しそうに繰り返し、音節を伸ばして歌いながら曲を締めくくる。このアルバムのサウンドは、ガレージ・オルガン風のドローン、厚みのあるギター・ディストーション、マレンによる力強いドラミングのコンビネーションから成る。「アンノウン・コーラー」の最後のパートでは、ジ・エッジが数少ない長いギター・ソロを行い、ストレートで哀愁を帯びたブレイクが展開される。テクスチャーに対する探求心と心を鷲づかみにする忘れられないメロディを伴った、U2によるほぼ5年ぶりのこのアルバムは、1991年の『アクトン・ベイビー』以来の傑作だ。

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