J・J・エイブラムス&スティーヴン・コルベア『スター・ウォーズ』対談

7. 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 』は“レンズフレア”控えめ、とエイブラムスが約束

見せびらかし的な演出もあれば、セルフパロディも含まれているが、エイブラムスは自身のトレードマークを今回は多用していないと断言している。シネマスコープのレンズに明るい光源を当てた、閃光演出のことだ。『スター・トレック』シリーズではその演出が許されたかもしれないが(“未来はこんなに明るいのだ!”)、『SUPER 8/スーパーエイト』に関しては言い訳できないことをエイブラムスは認めている。曰く、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』の1シーンはあまりにも光が強すぎて、妻にアリス・イヴの顔が見えないと文句を言われるほどだった。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒 』ではこの演出をなるべく控えるよう努め、照明班がセットに巨大なスポットライトを運び込んだ際には、“その光は使わないよ”とジョークを放った。

8. エイブラムスが監督した『スター・トレック』続編にファンの一部が満足していないことを、本人は承知している エイブラムスは、“第2作『スター・トレック イントゥ・ダークネス』が一部のファンに受け入れられなかった”ことを認めている。“『スター・トレック2/カーンの逆襲』への目配せが多すぎたんだ。それは認めるよ”。(筆者として事実を開陳すると、私は2013年のラスベガス・コンベンションで、かの悪名高きファン討論会の司会を務めた心ある紳士である。我ら、悲嘆に暮れた筋金入りのトレッキーたちはそこで、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』はシリーズ史上最低の作品と断定したのだ。エイブラムス、本当にすまなかった)。エイブラムスの制作会社バッドロボットによる『スター・トレック』第3作が軌道修正するかどうかは分からないが、エイブラムスがオタクたちの意見に耳を傾けていることは確かだ。

9. よく出来た脚本やエアロスミスのビデオには、事実がどうかなど関係ない

コルベアは、エイブラムスがスクリプトドクターだった時代の面白い話を聞き出した。マイケル・ベイの『アルマゲドン』も、そのうちのひとつだ。まだ駆け出しだったエイブラムスは、この作品でハリウッドについて学んだ。“実際には何が起こるかなど、大した問題ではない”ということである。エイブラムスが助言を求めた宇宙物理学者は、炭坑者のスペースアクション映画に書かれた一部始終を、バカバカしい作り話だと礼儀正しく指摘した。回答を持ち帰らなければならなかったエイブラムスは、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーに、“どれもこれもダメだった”と報告。しかし、その返事は“気にするな!”というシンプルなものだった。

10.「フォース」というものを、エイブラムスはずっと信じてきた

“あまりにも抽象的”にならぬよう、エイブラムスはこれまでの自分にとってフォースがどれだけ大切な意味をもっていたのか説明した。“神のいない信仰とでも言うのかな? 11歳の僕にとって納得できるものだった”。また、すべての人たちは“繋がって”いて、必要なのはそれを信じることだけという概念も気に入っていたという。最後に、素晴らしい声援を送る観客らに向けて、『スター・ウォーズ』は人知を超えたものだと締めくくったエイブラムス。生粋のショーマンだが、この超大作シリーズの影にひそめた謙虚さに、まったく偽りは感じられなかった。

Translation by Sayaka Honma

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE