日本随一のロック・フォトグラファーが撮ったロックスターたち:ビートルズ、ストーンズ、U2ほか


photo: Koh Hasebe

スージー・クアトロとレン・タッキー(1978年 東京)

日本公演は16回ほどやりました。初公演は1974年です。私にゆかりのお酒もあるし、日本は本当に大好きな国です。1976年にイギリスでバックバンドのギタリストと結婚したんですが、プロモーターの有働さんが東京でも結婚披露宴をやったらどうかと言ってくれて。これはそのときの写真です。純日本風の披露宴でした。お化粧をしてカツラを着けて。着物はプレゼントしてもらって、イギリスへ持ち帰りました。何て言ったらいいか、すべてが伝統的で厳かで、こんな体験ができてうれしかったです。日本は今でも、ツアーしたい国のひとつです。(スージー・クアトロ)


photo: Koh Hasebe

ポリス/アンディ・サマーズ(1981年 東京)


これは、1981年のポリスのツアー中に東京郊外で撮影されたものです。力士と土俵に上がろうって言い出したのは、私なんですよ。ガリガリのイギリス人ギタリストと屈強な力士が戦う構図なんて面白いじゃないですか。それで、プロモーターの有働さんが電話で交渉してお膳立てしてくれました。集合は朝の9時。1月の凍える寒さがつらかったです。私たちは礼をして中へ入り、対戦相手と対面し、お互いに敬意を払いました。儀礼として食事をともにしました。私は服を脱ぎ、箸に巻き付けて髪を結い、なんとかまわしを締めました。私たちは土俵に入り、取り組み始めました。と言っても、対戦相手が優勢で私を土俵の外へ押し出そうと突いてくるばかりでしたが。私は果敢に挑みましたが、ゾウと戦うようなものでした。これ以上やっても無駄だとわかり、私は降参して負けを認めました。すっかり満足してホテルに戻ると、ベッドに潜り込み、尻が冷えたせいで風邪をひいてしまいました。
80年代初期の日本は欧米化の途上にありましたが、イギリスのロックバンドにとっては十分エキゾチックだった。1981年当時、日本で大人気だったので、行く先々で女の子が群がり、私たちを待ち構えているファンの女の子たちが、ホテルで朝食をとっている姿を、毎朝通りに面したホテルの食堂の大きな窓ガラス越しに見つめてるんです。ポリスのロックスタイルは80年代の日本において、未知との遭遇ともいえるものだったんでしょうね。爆音でギターをかき鳴らすブロンドの青年3人。当時のファンは欧米の流行やスタイルに慣れていなかったから、私たちが海外から来た神のように思えたんじゃないかな。妙な感じでしたが、面白かったですよ。(アンディ・サマーズ)

Translation by Naoko Nozawa

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