ジョニー・デップが演じたベスト&ワーストキャラクター15人


ベスト:『デッドマン』(1995)
確かに、ジム・ジャームッシュ監督のこのサイケデリック・ウェスタンが、デップに過剰な自信を与えたのかもしれない。だから彼はずっと後に、トント役(詳しくは下)を演じてしまったのだろう。しかし、この映画はどこから見ても非の打ちどころがない、まったくもって素晴らしい作品だ。いちばん最初のシーン、ハリウッドきっての変人クリスピン・グローヴァーとデップが電車で向き合って座っているところから、若きデップは一過性の人気スターになる気などさらさらないことを、はっきりと意思表示している。

ウィリアム・ブレイク役(詩人ではなく会計士)は、自らの死に向かって一直線に突き進んでいるような男で、デップはこれを見事に演じている。予期せぬ殺人と魂の探求、いくつかの意図的な殺人の末、未開の土地で消えゆく民族と交流するさまが、平凡な中産階級の主人公という視点で静かに語られていく。デップがこれほど大きな心の変遷をたどるキャラクターを演じたことは今までない。劇中で何度も詩人に間違われるこのウィリアム・ブレイクは、デップがこれまで演じてきたどの役柄よりも骨太でリアルに見える。

ワースト:『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)
『チャーリーとチョコレート工場』のリベンジとばかりに、デップは再びティム・バートンと組んだ。別の児童文学に出てくる、名キャラクターの変人を演じるためだ。こうして、私たちはタラント・ハイトップ(またの名をマッド・ハッター)を目にすることになった。しかし、醜悪なデジタル加工(この“賛辞”はヘレナ・ボナム=カーターが受け取るべき)が施された、顔を背けたくなるほどゾッとするこの長編映画において、いちばんの汚点は彼ではないことを強調しておかねばなるまい。

実際、デップにそれほど責任はない。スタジオの映画製作システムが問題なのだ。集客力のある世界的スターが大役で出演しない限り、バートン版『アリス・イン・ワンダーランド』の製作が実現することはなかった。ルイス・キャロルの原作小説に出てくる単調なキャラクターを抜き出し、ぼさぼさのオレンジの髪をつけて戯言ばかり並べさせたのが、デップの演じたマッド・ハッターだ。これは俳優たちに、役作りする上で選択肢が多いほど正しい結果を導くいう考えを戒める教訓となるだろう。

ベスト:『フェイク』(1997)
デップを「優れた俳優」と評価する人は、たいていマイク・ニューウェルの『フェイク』を思い出している。骨太なギャング映画で、デップがその気になれば深刻で陰気な演技もできることを証明した。実在のFBI潜入捜査官ジョセフ・D・ピストーネ(潜入名はドニー・ブラスコ)役を、デップは『21 ジャンプストリート』と『グッドフェローズ』の間を行き来するように演じている。スクリーンに登場するシーンのうち82%は、ギャング仲間のアル・パチーノを「チ○ポ野郎」呼ばわりしているような男だ(残り18%で自分は違うと否定している)。付け焼き刃のギャング言葉にも、生死をかけた捜査の緊張感をにじませることはない。ブラスコがマフィアたちとふざけ合うとき、彼に本名で呼びかける昔なじみを拳で黙らせるとき、デップは役柄にリアリティと身の縮む恐怖を与えている。そうした要素が、ピストーネが妻に「俺はアイツらになろうとしているんじゃない、マギー。俺はアイツらなんだ」と説明する、デップのキャリアのなかでもベストに挙がる名シーンに繋がっている。

Translation by Sayaka Honma

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