ジョニー・デップが演じたベスト&ワーストキャラクター15人


ワースト:『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』 (2011)
ジャック・スパロウと巡り会って以降、デップのキャリアは劇的に変化した。ディズニーのアクションコメディ・シリーズの主人公は、デップを金のなる木に変えたのだ。映画史上、最も無害で無駄口の多い海賊スパロウは、もともとは呂律のまわらないキース・リチャーズと、天性のおっちょこちょいバスター・キートンにヒントを得て練られたキャラクターである。しかし、フラフラしたこの海賊が第4作にカムバックした頃には、デップの演技は「酔いどれのギターの神様」ではなく、「慢性的な内耳疾患のコスプレ愛好家」にしか見えなくなっていた。よく目を凝らせば、スパロウが生命の泉を探す旅に出るというプロットに、残酷な皮肉さえ感じ取れる。だが、デップ演じる陽気な海賊がなぜこれほど老いぼれて見えるのか、努力してその理由を探る必要もない。

ベスト:『ラスベガスをやっつけろ』(1998)
「人間は獣になることで、、、」ハンター・S・トンプソンが乗り移ったかのようなデップは、映画全体を通じて常にラリっている状態だ。デップの演技でいちばん素晴らしいのは、このゴンゾー・ジャーナリストの声と外見を2時間ぶっとおしで完璧にコピーしていることではない。ドラッグが効いてくると、デップ演じるラウル・デュークの想像力にはすぐさまスイッチが入り、それが良からぬ方へと無限に広がっていくのだ。

妄想に取り憑かれたコミカルな表情のデュークは、幻覚剤で混乱した詩人ヴァージルのよう。私たちにラスベガスの地獄絵図を案内しながら、アメリカン・ドリームを追ううち、あらゆる種類の不気味な生き物が顔をのぞかせてくる。見ていて楽しいと同時に恐ろしくもあるデップの演技が、後のジャック・スパロウにどれだけ影響を与えているか考えると痛快だ。あのディズニーの子ども向け大ヒット映画の人気キャラクターに。デップはまったく素晴らしく、なかなか止められないLSDのように、今後も彼はこの役を完全に脱ぎ去ることはないだろう。

ワースト:『ローン・レンジャー』(2013)
大々的に酷評されたゴア・ヴァービンスキーの超失敗作だが、みなの評価ほど悪い作品ではない。しかし、ネイティブ・アメリカンのトント役でラジー賞にノミネートされたデップの演技は、ディズニー幹部の思いつきにしか見えない。ジャック・スパロウのデップを見て「これはいい。あと412%増しで攻撃的にしたら?」というように。デップが『妹の恋人』の一部にバスター・キートンを取り入れているとしたら、この映画はキートンの代名詞「グレート・ストーン・フェイス」を本格的にコピーした、自分のジャングルジムに向かって電車で突っ込むようなアクロバティックな間抜けと言っていい。

ただ、この時点でデップが築いてきたキャリアを鑑みると、ほとんど過去の自分をコピーしているようなものだ。ジャック・スパロウのよろよろ歩きに、ウィリアム・ブレイクとハンター・S・トンプソンの声を加えたデップのトント役は、過去の成功を寄せ集めた屍の上をなぞるようにふらついている。だから、彼の頭の上に停まったカラスは小道具ではない。あれはメタファーだ。

Translation by Sayaka Honma

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