制作から50年を経ても、ペネベイカーの微に入り細にわたるタイムカプセルは、驚くべき新鮮さを保っている。クライテリオン社の盛りだくさんなリリースのおかげもあって、『ドント・ルック・バック』はペネベイカーに言わせれば「もともとの録音や撮影よりも高品質で」楽しむことができるようになった。プロデューサーのケン・ヘンドリクスン(1999年にこの作品のDVDが初めて他社からリリースされた時にもかかわっていた人物だ)のこだわりもあって、今回のリリースには、ペネベイカー監督のコメント、ツアー・マネージャー兼ディランの共犯者ボブ・ニューワースのコメント、2006年リリースのボックスセットに収録されていたペネベイカーのアウトテイク映像『ツアー65再訪』が追加されている。今回のリリースにはさらに、「ダイレクト・シネマ」方式の産みの親であるペネベイカーの、次のような初期の作品も収録されている。前述のジャズミュージシャンの短編『ランバート&コー(Lambert & Co.)』(1964年)、パティ・スミスや評論家グレイス・マーカスのコメント、『ドント・ルック・バック』の未収録シーケンス集『スナップショッツ・フロム・ザ・ツアー(Snapshots From the Tour)』などだ。