DJダヒ:ドクター・ドレー、ケンドリック・ラマーを虜にするマスター・ビートメーカー

ードレーのアルバム『コンプトン』に収録されている『ディープ・ウォーター』でもあなたの手腕が発揮されていますが、あの曲は今年度最もクレイジーなビートのひとつだと言われています。ドクター・ドレーと仕事してみてどうでしたか?


実を言うと、当時はこのアルバムがリリースされることはないんじゃないかと思ってたんだ。弄ばれているだけのように感じたこともあった。自分に何ができるのかわからなくて、正直ビビってたよ。でも俺のマネージャーはいつも、自分の限界に挑戦するチャンスを与えてくれるんだ。

ドレーと会った時、「君は今の俺のお気に入りのプロデューサーのひとりだ」って言ってくれたんだ。思わず「マジかよ!」って口に出しそうになったよ。ドレーのような人物からそんなことを言ってもらえるなんて思ってもみなかったからね。すごく自信になったし、勇気付けられたよ。でもなんていうか、曲を作ってはいたけど、アルバムを作ろうとしているようには思えなかったんだ。しばらくして、これは映画のサウンドトラックなんじゃないかって思い始めた。ドレーも作品を発表する必要性を感じていたように思うよ。『ディープ・ウォーター』はアルバム用セッションの最後に生まれた曲のひとつだ。カーディアックが出したラフのアイディアを、彼と俺とデム・ジョインツの3人で形にしていったんだ。まるでボルトロンみたいに、それぞれが作ったパーツを組み合わせたんだ。メロディの大部分を手がけたのは俺で、ドラムはカーディアックが作った。3人がそれぞれ素晴らしい仕事をしたんだ。いつも何かしら学べるから、他人との共同作業は好きだよ。でもドレーは曲をよりディープにしようと考えて、水面下で鳴っているビートっていうコンセプトを思いついたんだ。聞いたこともないクレイジーなエフェクトを使ってたよ。ドレーと仕事をしたなんて、実を言うと今でもあまり実感がないんだよ。

ープロデューサーとして、同じことを繰り返さないために心がけていることはありますか?


居心地がいいと感じる場所に長くとどまらないこと、テクノロジーの進歩についていくこと、そして自分のしていることを心の底から愛することだね。新しいものを作ろうとする時、俺はいつも自分にこう言い聞かせるんだ。「これは俺が生まれて初めて作るビートだ」ってね。新しいものに対して常にアンテナを張っておくことも大事だ。俺は常に自分の限界に挑戦していたいんだ。アーティストが過去に聴いたことのないものを提供するためにね。

今は自分のアルバムを作ってるんだ。ようやく先が見えてきたところさ。コンピレーションになると思うけど、俺ならではのフィルターを通したユニークなものにするつもりだよ。いろんなアーティストに参加してもらう予定なんだ。今から完成が楽しみで仕方ないよ。来年には発表できるはずさ。

ー今年耳にしたものの中で、嫉妬するようなビートはありますか?


ドープだと思う曲はたくさんあるけど、嫉妬したりはしないよ。今年は優れたレコードがたくさん世に出たと思うし、しかるべき人たちが評価されて嬉しく思ってる。俺は俺で自分にできることをやり続けるだけだよ。今は実り多い時代だと感じてる。

ードレイクの次作『ビューズ・フロム・6』には参加予定ですか?


俺にもわからないんだ。一緒に仕事をしたことは事実だけど、どういう結果になるかはわからない。噂になってるフューチャーとドレイクのミックステープでも、自分のビートが使われているのかどうか知らないんだ。実際に発表されるまで知らされないだろうから、俺自身すごく楽しみにしてるよ。ふたりのファンと同じ気持ちだね。

Translation by MASAAKI YOSHIDA

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