ビートルズが楽器を交換した名曲10選

『ジョンとヨーコのバラード』


1969年のこのブルージーな悪ふざけは、ビートルズが全英チャートの1位を記録した最後の曲となった。オノ・ヨーコとのパリでのハネムーン中にレノンが書き、このカップルを追い回すマスコミの大騒ぎを描いたものだ。詞はすべてレノンの手により、内輪ウケのネタと辛辣な観察に満ちているが、アレンジは手慣れたマッカートニーで、リズミカルで意味のない「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」の型を元に構成されている。レノンとマッカートニーは『ジョンとヨーコ』を残りの2人のメンバー抜きでレコーディングした(リンゴは『マジック・クリスチャン』というコメディでピーター・セラーズの相手役として映画を撮っていて忙しかった)。レノンはリード・ギターでコール・アンド・レスポンスを、マッカートニーは威勢のよいドラム・トラックを加えた。この曲はロック界で常に最高の作曲家である2人が創作における親友に珍しく戻ったことを示した。

『ジ・エンド』


『ジ・エンド』はビートルズのために誂えたクライマックスだ。『アビイ・ロード』の不規則に散乱したメドレーの最後となる曲で、4人揃ったフルバンドとして最後となるセッションで録音された。ハードロックのリフから土砂降りのようなギター・ソロへ、さらにオーケストラ伴奏のバラッドへと急激に切り替わるこの曲は、並んでランクインしたレノンの、幻覚のような「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」(3分に満たない)と共にバンドのプログレへの傾倒がピークに達していた瞬間だった。

この曲もまたビートルズの個々の才能を示すものだったが、このバンドの事実上のリード・ギタリストであるはずのハリスンだけでなく、トリプル・ギターとなってレノンとマッカートニーもリックの応酬に加わった。トラックの中盤でこの3人はそれぞれ短いソロを代わる代わる披露した。まずポール、次にジョージ、最後がジョンだ。レノンが狂ったようなファズ音でスポットライトを鷲掴みにすると、ポールの渾身の鋭い音が響き、リスナーをファブ・フォーのR&Bのルーツに戻してくれる。

Translation by Kise Imai

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