ヴァン・ヘイレンの超クールなレア曲20選

『シンプル・ライム』
サミー・ヘイガー加入後のヴァン・ヘイレンは、恋愛を歌うパワーバラードでチャートを賑わせたが、深い感情を歌った曲はデイヴィッド・リー・ロス時代には極めてまれだ。アルバム『暗黒の掟』に収録された、ザ・フーを思わせる本作は特筆すべき例外で、ダイヤモンド・デイヴは突然感情を爆発させ、彼女が「突然出て行った 俺はもう死んだ方がましだ」と白状するのだ。本作は、予期せぬ感情の爆発を和らげるようなハードロックだ(短いベースソロもある)。しかし、ロスは自分も我々一般人と同様、恋の病には弱いのだということを吐露している。

『ドロップ・デッド・レッグス』
大ヒットアルバム『1984』からシングルカットされなかった数少ない曲のひとつ(厳密には、シングル「パナマ」US版のB面に収録されている)。このわかりやすいロックナンバーの特徴は、「あの子見てみな デカ尻ちゃん」や「きれいな白い歯 ベティちゃん」のようなデイヴィッド・リー・ロスお得意の無意味な歌詞と、大ヒットアルバムの中でももっとも激しいリフだ(AC/DCの『バック・イン・ブラック』がヴァン・ヘイレンの明るい南カリフォルニアのプリズムを通過したイメージ)。本作のアウトロは2分におよぶインストゥルメンタル・ジャム。エディが調和的に広げ、エディがよく名前を持ち出す数少ないプレイヤーのひとり、フージョンギタリストのアラン・ホールズワースにつなげている。

『ダーティ・ムーヴィーズ』
81年のアルバム『戒厳令』に収録された、ヴァン・ヘイレン流ポルノ映画スターを称える歌。ビデオやインターネットが普及する前の主人公が“銀幕で”致す歌詞は古臭いかもしれないが、スリージーなリフとうねるスライドギターは今聞いてもかっこいい。「ダーティ・ムーヴィーズ」で特徴的なのは、メンバーが即興で口笛を吹き、叫び、「全部脱げ」とはやし立てる中盤のブレイクダウンで、以降、さまざまなグラムメタルバンドの曲で用いられている。ヴァン・ヘイレンは、84年のヒット曲「ホット・フォー・ティーチャー」で再びこの技法を用いた。不良高校生に扮したデイヴィッド・リー・ロスが「遅刻じゃないと思いまーす」と不滅のセリフを口にする。

Translation by Naoko Nozawa

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE