モーターヘッドのレミーが浸透させたメタル・ウムラウトとは

レミーとモーターヘッドは影響力の強い彼らのサウンドを以上に、ヘヴィメタル界でウムラウトの神聖な地位を確立させた (Photo by Jay West/Getty)


もし不快でなければ、悪っぽさは本当に重要だった。シングル『死神』以前の時代のブルー・オイスター・カルトは、特に『Career of Evil』や『Dominance and Submission』などの曲で、自分たちのイメージと歌詞に脅威と邪悪さという暗示を散りばめた。しかし、モーターヘッドにウムラウトがついたとき、レミーとほかのバンドメンバーによるロックンロールへのシンプルで荒削りなアプローチとウムラウトの組み合わせは本当に不吉そのものという印象を与え、その影響は甚大だった。「俺はブルー・オイスター・カルトのアイデアを盗んだ」と、レミーは2011年に語った。「それからモトリー・クルー(Mötley Crüe)が俺たちの真似をして、どんどん広まっていった」。

地味だが的確に称賛すると、ロックの歴史にはモトリー・クルーやクイーンズライク(Queensrÿche)、ハスカー・ドゥ(Hüsker Dü)(メタルではなく、「覚えている?」という意味のスウェーデン語)、ザ・アキューズド(The Accüsed)、グリーン・ゼリー(Green Jellÿ)(皮肉でウムラウトを使っている)、スパイナル・タップ(Spinal Tap)(陽気さを最大限示す目的で、時々「n」の上にウムラウトをつけたスペルを使う)そして『Rrröööaaarrr』(カナダのヘヴィメタル・バンド、ヴォイヴォドによる1986年発売のアルバム名)などと、ドットが文字通り点在している。R&B歌手のジェイソン・デルーロも、見た人が自分の名字を正しく発音できるようにと、デビュー・アルバムのジャケットで名字の「u」の上にウムラウトをつけた。

だが、レミーにとってのウムラウトとはギャグでも発音上不可欠な要素でもなかった。モーターヘッドの初期の作品が、70年代のメタルに高速でうるさいリズムと激しさという要素を与えたのとまったく同じで、このバンドのウムラウトはメタルに入り込もうとし始めたアリーナ・ロックの鬱陶しさを振り払い、彼らの自己主張になった。この付加記号は、メタルの強みとアイデンティティを確実なものにした。そして音楽業界というのは常に独特な存在で、時には不快で無礼なそれ自体でひとつの宇宙を形成していることを示した。(ナチスの記念品コレクターであるレミーは、ウムラウトとナチス時代の「Führer」という言葉に使用されたドットとの関係についてめったに言及しなかった。)レミーにとってのウムラウトとは、彼の音楽や身体が持ち堪えられなくなるまでに彼が過ごしたライフスタイルと同じように、非常に重要なことを伝え、また自己主張の手段になったのだ。

Translation by Deluca

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