デヴィッド・ボウイの隠れた名曲20選

3 『ニュー・キラー・スター

何年もの間、デヴィッド・ボウイは絶え間なく活動を続けてきたため、2003年9月に『リアリティ』を発表した時、人々は当然のことのように受け取った。前作から1年あまりしか経っておらず、ほとんど注目されなかったが、『リアリティ』は素晴らしい作品だ。アルバム一曲目に収録されているこの仰々しい曲は、9.11直後のニューヨークについて触れている。グラウンド・ゼロのすぐ近くに住んでいたボウイは、この悲劇に深く心を打たれたという。「あの白い傷跡を見ろ」彼は歌う。「バッテリーパークの上/炎が音もなく立ち昇る/けれど俺はもうあの傷跡を見ない」

2 『ブリング・ミー・ザ・ディスコ・キング

ボウイの作品で、構想からなかなか完成にこぎつけなかった楽曲がいくつかあるが、その最たるものが『ブリング・ミー・ザ・ディスコ・キング』だ。1993年の『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』のセッションで、彼はこの忘れがたい内省的な曲に取り掛かったが、完全にまとめ上げることができなかった。4年後の「アースリング」で再び試みるも上手くいかず、2003年の『リアリティ』のセッションで全体的にテンポを落とし、ようやく完成することができた。アルバムの最後に収録された8分弱の長めのナンバーは、リリース以来大勢の人々に愛されてきた。「暗闇で俺を突き刺して、葬り去ればいい」という歌詞は、あたかも別れを告げているようだ。

1 『ハロー・スペースボーイ

いろいろな意味で、デビッド・ボウイの90年代は迷走の時代だった。 何十年にもわたりトレンドを発信し続けてきた彼が、突如として時代に取り残され、トレント・レズナーといったボウイにインスパイアされた人々が当然のごとく電波を支配した。彼が一生懸命になればなるほど、事態はますます悪い方向に向かい、ナイル・ロジャースとブライアン・イーノを再びプロデューサーとして起用した時、特にそれが顕著に現れた。そんな中、唯一の例外が、1995年の『アウトサイド』に収録されている『ハロー・スペースボーイ』だ。オリジナルはナイン・インチ・ネイルズの力強いヴァイブが特徴で、後にペット・ショップ・ボーイズによってリミックスされ、一層素晴らしい作品となった。ダンス向きのナンバーで『スペース・オディティ』の歌詞も少し追加されている。この曲はあまり注目されず不振に終わったが、ボウイが2000年代に入ってからもセット・リストに留めた数少ない90年代の作品のひとつだ。

Translation by Aki Urushihara

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