3位 Tau Cross(タウ・クロス) 『タウ・クロス』


ウ・クロスが果たしたメタル・デビューほど自信に満ちたデビューを見たのはかなり久しぶりだが、バンドの歴史は通算30年以上あるので彼らは少し特殊なケースである。この国際的な4人組には、英国クラスト・パンクの生みの親であるアメビックスのベーシスト兼ヴォーカルのロブ「ザ・バロン」ミラーとケベックのSFスラッシュ・メタル・バンドであるヴォイヴォドのドラマー、ミシェル「アウェイ」ランジュヴァンという80年代のアンダーグラウンドの生き残り2名が参加している。タウ・クロスは気の抜けたスーパーグループらしい取組みはせず、純粋で美学的な分野を切り開いた。この場合は、キリング・ジョーク風スタイルの暗めのポストパンクや聖歌のようなポスト・モーターヘッド風のハードロックを混ぜたような感じである。ミラーの歌詞は感傷的な人間のイメージを歪曲するが(「夜が訪れる。これらの壁を見ると再び記憶が溢れ出す(Night falls; these walls are leaking memories again)」)、彼は耳障りだが思い切り美しい旋律のしわがれ声で歌い、信念を持ってこの作
品をリリースしているのだ。by H.S.

2位 Faith No More(フェイス・ノー・モア) 『ソル・インヴィクタス』


このオルタナティヴ・メタルの不適応者たちは、最後のフルアルバム発売から18年ぶりに復活し、未だに何かの型にはまることを拒んでいる。オズフェスやオール・トゥモローズ・パーティーズなどの出演者を彼らの影響を受けたバンドで独占することは可能だが、フェイス・ノー・モアはむしろ、ポストパンクのリズミカルな催眠術やゴシック色を帯びた雰囲気、カスタネット音を散りばめたエンニオ・モリコーネ風のメタル、3部構成のハーモニー、朝食のシリアルに関するメタファーを表現した狂気のアンセムなどのスタイルに傾いている。ヴォーカルのマイク・パットンは、ジョン・ゾーンとともにくつろいだ雰囲気のしっとりとしたジャズを奏でる万能な楽器として歌唱力を展開し、アルトゥーロ・トスカニーニ・フィルハーモニー管弦楽団と一緒に柔らかいイタリアン・ポップを囁くように歌ったりしてこの20年を過ごしてきた。そして現在、ドラマーのマイク・ボーディンとベーシストのビリー・グールドによる頑強なグルーヴに合わせて、30年間経っても変わらない力強く独特なリズム・セクションを奏でている。by C.W.

1位 Marilyn Manson(マリリン・マンソン )『ザ・ペイル・エンペラー』


マリリン・マンソンは1996年に自身を「アンチクライスト・スーパースター」だと名乗って以来ずっと制作の兆候を示してきたゴシック・メタルのアルバムを、この作品『ザ・ペイル・エンペラー』で遂に実現させた。彼に必要だったのはわずかな自制心だけだった。1994年のデビュー時に叫んだ最初の言葉が「俺はファックの神」であるなどと、昔のマンソンが大げさすぎるほど派手なショーマン魂を満喫していた頃と違い、現在46歳の威厳に満ちたペイル・エンペラーは、かつてアルバムの名曲のひとつで自らを「ロサンゼルスのメフィストフェレス」と呼んだ時に当然感じた孤独についてつぶやくため、不気味なテクスチャーや根源的なドラム、弱々しいギターで自信たっぷりに突き進む方が良いようだ。『サード・デイ・オブ・ア・セヴン・デイ・ビンジ』や『オッズ・オブ・イーヴン』などの悲しい雰囲気の収録曲は、デカダンスの余波に関する長ったらしい説明としての役割がある一方で、ディスコ風の曲『ディープ・シックス』はシングル『ザ・ビューティフル・ピープル』以降に彼が作ってきたなかでいちばん優れたダンスフロア・ソングである。失われたニュー・メタルの巨大な指標は(生意気な言い回しが2、3個保たれているが)、バウハウスやデヴィッド・ボウイ、そしてかなり意外だがブルースなどの影響に置き換えられている。今回に限り、ハスキーかつ不機嫌で豊かなマンソンの真の歌声が最大限発揮されている。私たちの少年は完全に大人になったのである。by K.G.

Translation by Deluca

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