ロッド・スチュワート フェイセズ再結成、70歳で見つけた幸福

ロッドのショーは、77年のローリングストーン誌の表紙にもなって彼のイメージを決定付けた、歓喜に包まれながらの「アイム・セクシー」へ引き継がれて締めくくりに入る。「50にもなって「アイム・セクシー」を歌っていたいとは思わなかったし、自分自身のパロディだよね」。彼と同年代のほとんどの昔の連中は恥だと思っただろうが、ロッドは喜んで続けた。「みんな自分のことを笑えるようになるべきだよ」とロッドは言う。「そうしなくちゃいけないんだ」。

このディスコのスタンダードは、シングルとしては彼のキャリアの中で最大のヒットとなったが、この成功には大きな代償を支払わなければならなかった。一部、彼のレコード会社の判断のためだったにせよ、「おれってセクシーだと思う?」というタイトルの下に、ヒョウ柄のスパンデックス・パンツを履いてベッドに妖艶に横たわったロッドの写真で全米中の巨大看板を使ってプロモートした。スティフェルは言う。「彼のファンだった連中みんな、強烈な勢いで離れていった。彼らはロッドがハリウッドに行ってしまったと思ったんだ」

スチュワートは、今日のロッドへの批判運動についての話のときに、くすくす笑っていたが、彼のキャリアの中のさまざまな到達点で受けた酷評を忘れているわけではなかった。とりわけ、ディスコ時代のことを。彼はいまだ、1980年のローリング・ストーン誌の特集「イラストレイテッド・ヒストリー・オブ・ロックンロール」の衝撃的な酷評をほとんど一語一句違わずに暗唱できる。「ロッド・スチュワートのように完全でユニークな才能を持つシンガーは稀だが、誰もがここまで完璧にその才能に裏切られるのも稀だ。かつては音楽シーンで最も心ある存在だったが、いまや彼は気味の悪い自分自身のパロディになってしまった。レコードはこれまで以上に売れているが」。

彼のキャリアをみれば、ブルースから、フォーク、アリーナ・ロック、ディスコ、ニュー・ウェーブ、アダルト・コンテンポラリー、アメリカン・スタンダードまで、何でもかんでも首を突っ込んできたというのは真実だったが、批評家たちのお気に入りのデヴィッド・ボウイがこれほど跳ね回ることはなかった。「デヴィッドはいつもロック批評家に愛されてきて、僕はそうじゃなかった」と彼は言う。「批評家達は彼を知的な作家として見なしていて、僕は単に反対側なのさ。彼らにとっては、いつも黒と白なんだ」。

Translation by Kise Imai

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