2016年アカデミー賞予測:オスカーを受賞するのは誰か?

ローリングストーン誌がアカデミー賞を予想。
オスカーを受賞するのは誰か、また、受賞にふさわしいのは誰か。


スキャンダルだ!侮辱的だ!なんたる不名誉だ!2016年のオスカーが白人のイベントと化すならば、2月28日のアカデミー賞では恥辱のレッド・カーペットを歩くことになる。

それもそのはず、俳優部門の20人の候補者の中で誰一人として有色人種がいないことに、人々は激しい憤りを感じているのだ。昨年、全く同じ事態が起きた時も、オスカーの投票者は窮地に追い込まれた。だが今回はもっと個人的な様相を呈している。スパイク・リーやウィル・スミス、その妻ジェイダは授賞式のボイコットを呼び掛けた。映画芸術科学アカデミー会長のシェリル・ブーン・アイザックスはこの事態を受けて、「アカデミー賞は会員構成を改めるために劇的な一歩を踏み出します」とコメントした。つまりは、会員のほとんどが年配の白人男性なのだ。

一方で、我々は主要部門の候補者に焦点を移し、最有力候補や番狂わせの予想を始めたいと思う。さらに、数々の冷遇に対する意見も述べるつもりだ。それでは、ローリングストーン誌が選んだ最もオスカーに近い候補、また、オスカーを獲得すべき候補を紹介しよう。

<作品賞>
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Photo: Kerry Hayes

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
『ブリッジ・オブ・スパイ』
『ブルックリン』
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
『オデッセイ』
『レヴェナント 蘇えりし者』
『ルーム』
『スポットライト 世紀のスクープ』

時代遅れで古臭い映画芸術科学アカデミーは、作品賞の候補を10作品まで選ぶ権利があるが、今回ノミネートされたのはわずか8作品。黒人による制作『ストレイト・アウタ・コンプトン』や、女性監督マリエル・ヘラーの『The Diary of a Teenage Girl』、そしてトランス・ジェンダーの俳優が出演する『タンジェリン』はいずれも候補に上がらなかった。たしかに『ストレイト・アウタ・コンプトン』は脚本賞にノミネートされている。だがこの脚本は2人の白人によって書かれたものだ。これは一体どういうことなんだ!

スパイク・リーとジェイダ・ピンケット=スミスは6000人近いアカデミー会員(全体の94%が白人)に対し抗議の声を上げ、2月28日に行われる授賞式を欠席する意向を表明した。俳優部門の候補者20人のうち、マイノリティは1人もいない。ちにみに昨年も、『グローリー/明日への行進』でマーティン・ルーサー・キング・ジュニアを熱演したデヴィッド・オイェロウォやこの映画の監督であるエイヴァ・デュヴァーネイは候補に選出されなかった。今回の候補者を侮辱するつもりはないが、オスカーは一流の作品や俳優を選考対象から除外することなく、ベストの中のベストに授与されるべきだ。

獲るべき: 『スポットライト 世紀のスクープ』
http://spotlight-scoop.com/
トム・マッカーシー監督が注目の話題(小児性愛者の神父による虐待とカトリック教会の隠蔽工作をボストン・グローブが報道、ピューリツァー賞を獲得)を映画化。ジャーナリズムを扱った、『大統領の陰謀』以来の傑作と言える本作は、実話を正確に描写し、ハリウッドのでたらめを全て吐き出している。

獲るだろう: 『レヴェナント:蘇えりし者』
http://www.foxmovies-jp.com/revenant/
オスカーは通常、最もノミネートが多かった作品に贈られる。『レヴェナント 蘇えりし者』は12部門、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は10部門で選出されている。『スポットライト』が獲れないのであれば、筆者は『マッドマックス』を選ぶが、アダム・マッケイ監督が豪華キャストで描く金融危機の茶番劇、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』も追い上げを見せている。
獲るにふさわしい:
F・ゲイリー・グレイの『ストレイト・アウタ・コンプトン』と ライアン・クーグラーの『クリード チャンプを継ぐ男』はもちろん、トッド・ヘインズの『キャロル』やダニー・ボイルとアーロン・ソーキンがタッグを組んだ『スティーブ・ジョブズ』も筆者が実に惜しいと思う作品だ。

Translation by Aki Urushihara

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