カート・コバーンの知られざる素顔:映画『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』監督インタヴュー

—映画では、彼があらかじめ『アバディーン』を書き、それを読んでいるのが明らかになっています。

カートは明らかに演技している。彼はこの物語を完全に書き上げているんだ。彼はいつも彼がやっていた類の編集をしている。一部を削除し、あちらこちらで言葉を変える。この物語がユニークなのは、口述作品の大部分を彼が笑いながら作っているということなんだ。

彼はこれを深刻には捉えていない。この作品でやったように、言葉を吐き出し、品のない意見を口にしている。『アバディーン』の物語で録音を何回かしている。長い形では実際に彼が編集をしている部分や紙をめくっている音を聞くことができる。全体のリズム、声の感触はこの物語において非常に独特だ。他のところで同じものを聞いたことがあるとは思えない。

—このアルバムにはこれまで未発表だった曲やアイデアが含まれています。カートが二度と戻らなかった『バーン・ザ・レイン』 や『シー・オンリー・ライズ』 など。クリス・ノヴォセリックにこの作品を聞いたかどうか質問できましたか? もし聞いていたなら、バンドがこれらの曲を演奏しなかったのはなぜでしょう?

クリスと話すチャンスはなかった。この多くの曲について言えることは、面白いことだが、ニルヴァーナのファンに馴染みのある『フランシス・ファーマー〜』や『ビーン・ア・サン』のいろいろなバージョンが聞けるということだ。『サッピー』については、カートはおそらく15もの違うバージョンのデモを作っていたにちがいない。すべてではないが、このアルバムに収録されている未発表曲の大部分には複数のバージョンはない。つまり『シー・オンリー・ライズ』には1つのバージョンしかないということだ。これは非常に興味深いことだ。なぜなら肉付けがされている曲が多いから。

—『ユー・キャント・チェンジ・ミー/バーン・マイ・ブリッチズ/サムシング・イン・ザ・ウェイ』のデモは長いメドレーですが、録音したテープの中でも一続きの作品なのですか?

あの文脈そのものだ。ぶっ飛んだよ。パンクオペラのようだった。僕が面白いと思ったのは、『サムシング・イン・ザ・ウェイ』の後、『バーン・マイ・ブリッチズ』に戻っていることだった。他にも『デザイア』がある。カートは作曲中、どういうわけかこの『デザイア』の旋律に戻っているんだ。デラックス盤では2回か3回演奏されている。この旋律は流動的なテーマであり、全体を飾っている。

できる限り、僕たちはテープの収録順序を保とうと努力した。『アバディーン』から『ブライト・スマイル』という楽曲へ、そこからカートが語る『アンダーグラウンド・セレブリティズム』へと続く。これは僕が発掘したオリジナルのカセットの順番に従っている。曲の後にはよく、空白の部分を入れている。これはテープにあったままだ。僕が最初にテープを聞いたときに経験したことを再現するためだ。

Translation by Yoko Nagasaka

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