テレビ放映しなかった「グラミー賞」舞台裏8つのエピソード

セレモニーのオープニングでテイラー・スウィフトがステージに登場し、『アウト・オブ・ザ・ウッズ』を披露(Photo: Kevin Mazur/WireImage/Getty)

長い時を経てようやく実現したイーグルスの受賞から、アデルが見舞われた音響トラブルまで、セレモニーで展開されたドラマの数々を紹介

オスカー同様、世界中で何百万人もの人々がグラミー賞を楽しみにしている。数十台のCBSのカメラが逐一、ロサンゼルスにあるステープルズ・センター・アリーナの様子を伝えているが、それでも自宅で鑑賞した人々が逃したシーンは数多くある。月曜日の夜、アリーナに来場した数千もの人々の記憶に残った、カメラが捉えきれなかった瞬間をここで紹介する。

緊張感漂う生放送直前エピソード

グラミー賞授賞式、エグゼクティブ・プロデューサー、ケネス・エールリッヒ(Photo: Kevork Djansezian/Getty)



アメリカ全土で生放送された今年のグラミーは、興奮、プライド、パニックなどといった、キャストやクルーたちのさまざまな感情を呼び起こした一夜となった。月曜日の夜、放送が始まる数分前、長年にわたりグラミー賞のエグゼクティブ・プロデューサーを務めてきたケネス・エールリッヒは、恒例となったオープニングの挨拶を行った。彼は関係者のことが頭にあったのだろう。メインステージ付近で通路をふさいでいる観客が、ゆっくりと自分の席へ移動している間、「私はすぐに退出しますが、その前に少し時間をください」と話し始めた。彼は通路に目を向けたまま、舞台裏のクルー、ライター、タレントやプレゼンターに感謝の意を述べた。「皆さま、ご着席ください。聞こえませんか?どうぞお座りください。あと2分で通路をあけていただかなくてはなりません」

カウントダウン・クロックが午後5時に刻々と近づき、ベテランのテレビ・クルーの存在に安心した彼は、もう一人の名誉あるスタッフを紹介しようとした。「皆さんに我々のディレクターであるルーを紹介します」しかしその呼びかけに返ってきたのは沈黙のみ。「ルー、そこにいるのかい?おどかすなよ、ルー 」観客がヒヤヒヤしたことはいうまでもない。

Translation by Aki Urushihara

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE