マーティンとビートルズが出会ったのは1962年初頭のことだった。当時ビートルズはイギリス各地でファンを増やし続けてはいたものの、レコード契約を果たすことができずにいた。バンドのマネージャーのブライアン・エプスタインはEMIに勤めていたマーティンにアプローチし、バンドのデモテープを手渡したのだった。
「そのテープはお世辞にもいい出来だとは言えなかった」1979年の著書『耳こそはすべて』で、マーティンはそう綴っている。「多くのレコード会社が首を横に振ったのも無理はないと思った。ただ、その荒削りのサウンドには過去に感じたことのない不思議な魅力があった。ヴォーカルが1人だけじゃないというのも新鮮だった」
1964年当時のジョージ・マーティン Daily Mail/Zuma