「5人目のビートル」を超えたジョージ・マーティンという存在

今は亡きこのプロデューサーは、この素晴らしい4人の真のクリエイティブパートナーであり彼らに最も近い存在だった。(Photo Courtesy of Universal Music Group)

ビートルズの持っていた輝かしいビジョンをさらに奥行きのあるものにしたのは他のいかなるコラボレーターたちの誰よりも、ジョージ・マーティンだった。

ジョージ・マーティンの死は、これまで長く批判されてきた、「5人目のビートルを特定するのは難しい」という—まるで4人では十分ではなく、6人では多すぎるというかのような—考え方を改めて考えさせるものである。

ジョージ・マーティンはこの考え方が馬鹿げたものであり、実際の4人のビートルズが世界を変えただけではなく、お互いの内なる結びつきのおかげで世界に対して閉じていた存在だったことを考えれば、これが矛盾した表現であることを誰よりも理解していただろう。

例えば政治に関して彼らの1人に聞けば「今のところ、僕たちがそれを考えているかわからない」と答えただろう。これは彼らの精神的に似通った部分が連動していることの証拠であり、マーティンが彼らのことを第一に考えるきっかけになったことだが、最初の重要なミーティングでバンドに嫌いなものがあるかと聞かれると、ジョージ・ハリソンがこう答えた。「ああ、あるよ。マーティンのネクタイだ」。

彼らを持ち上げるために書かれた過去の記事では、5人目のビートルとして多くの人物の名前が取りざたされてきた。マネージャーのブライアン・エプスタインはこの作りあげられた名誉にしばしば名前があげられた。しかし彼は考えの甘いビジネス話にバンドの金の多くを無駄遣いさせた、単なるファンの男の子に過ぎなかった。もしあなたが自分を5人目のビートルだと考えたとしたら、彼らの目的を推し進めるために精力的になるはずだと考えるだろう。

Translation by Yoko Nagasaka

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