マンチェスター発新人バンド「The 1975」結成秘話、彼らの音楽が共感を呼ぶ理由


ヒーリーが自身のバンドThe 1975のために書く曲は、絶望や人間関係の破綻、ヘロインへの一時的な興味といった類の問題をまとめた日記であり、そういったすべてをシンセサイザーや80年代のポップ・ファンクのグルーヴ、そして強烈なサビへと落とし込んでいる。

「正直言って、俺の精神はそれほど安定していない」と彼は話の途中で語る。「The 1975の世界を出て思い切って遠くに行こうとは思わない。ここでは俺を非難する人はいないし、安全だからね。アルバムを作れば、正直者だと褒められる。でも、これが自分の全人生だから気が狂いそうにもなる。誰かに自分の人生を捧げることができないから。それから『俺はナルシストなのだろうか?』と考えることもある」。



ヒーリーは、The 1975をマムフォード&サンズ以来の英国大型新人バンドにさせるであろう、バンドのニュー・アルバム『君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。』でさらに自由な発想力を爆発させている。このアルバムは初登場1位を獲得するにふさわしく、バンドは初の米国アリーナ・ツアーを今春実施する予定だ。ヒーリーの祖母の死について率直に歌うバラード『ナナ』から4分半にわたるインスト曲『プリーズ・ビー・ネイキッド』などと、アルバムの雰囲気はバラエティに富んでいる。ヒーリー自身に似て、このアルバムもまとまりがなく、疲れさせ、懺悔のようでもあり、無秩序なものだが、楽しさがたっぷりと詰まっている。「自分が見つけた素敵なものを拾い集めるのが好きなんだ」と、少し統合失調症的なバンドのサウンドについて彼は語る。「1分間でものすごい量のことを言及する能力を持って育った。毎週、学校に対して異なる感情を抱いていたよ。俺たちのアルバムもそんな感じだ」。

「彼の興味はほんの一瞬しか続かない」とドラマーのジョージ・ダニエルはヒーリーについて説明する。「例えば、彼がビデオカメラとプロジェクターを持って来て、「見て、俺は映画を作っているんだ」と言って、皆「ああ、わかった」と答える。2週間後、彼はカメラの充電器を無くして、そのことを忘れてしまう。でも自分の仕事に集中している時はそんな性格のおかげですごい力を発揮する。オンの時もオフの時も中途半端にならないんだ」。

Translation by Shizuka De Luca

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