ロックの殿堂入りを果たしたN.W.A、メンバーの受賞スピーチ全文


俺たちが殿堂入りすることができたのは、いろんな人の助けがあってこそだ。サー・ジンクスは俺にラップの基本を教えてくれた。俺の最初のマネージャーのパット・シャーボネットは、ジェリー・ヘラーには気をつけろと忠告してくれた。マイケル・アシュバーンも、困難に直面していた俺を支えてくれた。リー・ヤングは俺がスタートしたばかりの頃から、ショービズの世界を生き抜く術を教えてくれた。他にもドノヴァン・スミス、ブライアン・ターナー、マーク、ビッグ・ベース・ブライアン、俺を信じてくれたすべての人々に心から感謝の気持ちを表したい。そしてもちろん、ここにいる俺の仲間たちにも。

ますはドレー、あんたには心から感謝してる。あんたなしじゃ俺がこの場に立つことは決してなかった。15歳のガキだった俺を信じてくれたあんたのおかげで、俺は学校を辞めて音楽の世界へと足を踏み入れることになった。よい子のみんなは俺のマネしちゃダメだぜ。

MCレン、彼はいつだって非情なヒール役だ。彼はN.W.Aの荒ぶる魂であり、また良心でもある。俺たちのガイド役のような存在だ。

DJイェラ、本当にありがとよ。彼がいてくれたことが、どれだけ俺にとって救いになっていたことか。全世界を敵に回していると感じていた時でさえ、彼は「クソくらえだ。今夜のパーティーはどこだ?」なんて言ってたからな。本当に愛すべき男さ。

D.O.C.にも感謝の気持ちを表したい。リリックの面で大きく貢献した彼は、れっきとしたN.W.Aの一員だからだ。N.W.Aのリリックの多くはアイス・キューブ名義になっているが、実際には俺とレン、D.O.C.、ドレー、そしてイージー・Eの共同制作だ。だからこの場で改めて、長く付き合ってくれたD.O.C.に感謝の気持ちを捧げたい。お前がここにいないのが本当に残念だ。

そして誰よりも、この男について語らないわけにはいかない。それはもちろん唯一無二の存在、イージー・Eだ。N.W.Aはイージー・Eのヴィジョンから生まれたものだ。決して恐れず、信じることを堂々と口にする、それが彼の信条だった。曲がラジオでかかるかどうか、メジャーレーベルと契約できるかどうかなんて、彼は気にもかけなかった。俺たちのストーリーを世の人々に知ってもらうこと、それが彼の描いたヴィジョンだった。彼が今ここにいないことが残念でならない。彼は優れたビジネスマンであり、人が考えていることを見抜くことができた。この場を借りて、『ストレイト・アウタ・コンプトン』の制作に同意してくれたイージー・Eの家族にも感謝の気持ちを表したい。俺たちは彼とともに時間を過ごすことができたことを、心から幸運に思っている。どうか皆も彼のことを忘れないで欲しい。

俺たちがロックン・ロールかどうかって?答えはもちろんイエスだ。ロックン・ロールは楽器でもなければ音楽のジャンルでもない。ロックン・ロールはスピリットなんだ。ブルース、ジャズ、ビバップ、ソウル、R&B、ロックン・ロール、ヘヴィー・メタル、パンク・ロック、そしてヒップホップ。すべてはスピリットで結びついているんだ。そのスピリットのもとでは、ジャンル分けなんて無意味なんだよ。ロックン・ロールは過去の遺産を定義するものではなく、自らの道を切り拓く者たちに宿るスピリットなんだ。そういう意味では、俺たちは紛れもなくロックン・ロールだ。





ロックン・ロールは型にはめるためのものじゃない。既存の概念に囚われない自由な精神、それがロックン・ロールだ。だからこそ、N.W.Aはロックン・ロールなんだ。ここに辿り着くまでに俺たちを支えてくれたすべての人々に、心から感謝の気持ちを捧げる。そして俺たちの音楽が、これからも世界中の人々の魂を揺さぶり続けることを願っている。



Translation by Masaaki Yoshida

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