『パープル・レイン』にまつわるクレイジーな10の逸話

Photo by Kevin Mazur/WireImage for NPG Records 2013

午前4時のレコーディング・セッションから、プリンスと双子女性とのラヴ・アフェアまで、『パープル・レイン』制作の内幕



2014年は、『パープル・レイン』発売30周年だった。30年前のあの栄光の夏、プリンスはアメリカのシングルチャート、アルバムチャート、映画チャートのナンバーワンを同時に独占していた。アラン・ライト(『The Holy or the Broken』の著者で、ローリングストーンのベテランライターだ)はこの記念すべき年に、新刊著として『Let’s Go Crazy: Prince and the Making of Purple Rain』で花を添えた。

この本でアルバム『パープル・レイン』の印象が根本的に変わってしまうわけではないけれど(ちなみに『パープル・レイン』は大傑作だ)、プリンスのファンにとっては、まるでおいしいバイキング・レストランのような本になっている。ライトは、当時のスクラップブックを掘り返しただけではなく、プリンスオタクとしての自分史と、『パープル・レイン』プロジェクトに参加したありとあらゆる人(ただしプリンス本人はのぞく)へのインタヴューを織り交ぜてこの1冊を編んでいる。マネージャーのボブ・キャヴァロ、バックバンドのザ・レヴォリューションのメンバーたち、特にウェンディとリサもインタヴューに登場している。この本からクレイジーなエピソードを10本、お届けしよう。




1. ベイビー・アイム・ア・スター
この話はすでにお聞きになったことがあるかも知れないが、プリンスが『パープル・レイン』を書いたのは、1999年のツアーでボブ・シーガーと一緒になることが多く、シーガーの『愛・ひととき(We’ve Got Tonite)』や『ターン・ザ・ページ』的な壮大なバラードを書きたいと思ったからなのである。そしてこの話はおそらく初めて耳にするのではないかと思うが、プリンスはこの曲のメロディがジャーニーの『時への誓い』に似ていることをよく認識しており、実際にジャーニーのキーボーディスト、ジョナサン・ケイン(この曲の作曲者だ)に、電話越しに『パープル・レイン』を演奏して聞かせて、異議はないかと確認を取っていたのである。さらに、スティーヴィー・ニックスのシングル曲『スタンド・バック』でキーボードを担当したプリンスは、制作中の『パープル・レイン』のカセットテープを彼女に送りつけ(その時点ではタイトルも付いていなかったのだが)、作詞を依頼しているのだ。ニックスはプリンスに電話を入れて断っている。後にニックスはこう説明している。「あの10分間の楽曲はとにかく圧倒的すぎて、聞いていたら怖くなってしまった」


Translation by Kuniaki Takahashi

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