ウィーザー、リヴァース・クオモの人生哲学

「あれは2005年、禁欲生活に入って2年目の年だったと思う。ハーバードで彼氏持ちのある女の子を好きになって、とてつもなく苦しい思いをしたよ。背徳瞑想コースの8日目で、頭の中のスイッチを押されたみたいな感覚だった。そのハーバードの子を忘れ、キョウコのことがふと頭に浮かんで、彼女に電話をかけたんだ。俺たちはまた話をするようになり、将来一緒にいたらどうなるかなどと真面目に話し合うようにもなった」。1年後に2人は結婚し、揺るぎなく、かつて不安や苦悩を感じていたクオモを安心させるような人生を共に歩み始めた。

「夜にひとりでいることや、人と付き合うこと、相手を探すこと、そういったことで生じる劇的な出来事すべてがあまり気にならないよ」と彼は語る。「俺には安定感が大事なんだ」
だが、悪魔は決して休むことがないので、もし悪魔が彼の肩に飛び乗ったら、悪魔が彼の耳元で何を囁くのか気になる人もいるだろう。

「悲しいことに、俺の悪魔は恐ろしい存在ではない」と彼は言う。「こんなか細い声で縮こまっている。「あの子セクシーじゃない?行ってみろよ?」とか、お決まりのセリフを全部言って。今の俺はよく手懐けられた動物だ。未知の悪事を試してみるのも楽しいかもしれないけど、そんな気まぐれにいちいち興じていたら、24時間で自分の人生が壊れてしまうだろう。俺は自分の人生を愛しているからね」。


彼は自分が見た夢を思い出すことができるのだろうか?「普通は無理だよ」と彼は話す。「でも精神分析療法を実行し始めてからは、思い出すよう努力している」。

フロイトの精神分析療法のこと?

彼はうなずく。「数週間前に始めたんだ。以前ライフ・コーチをつけて約5年間夫婦セラピーを受けた。最近の人たちは皆、フロイトの説はすべて間違っていたと考えているよね。女性はペニスの所有を望んでいないし、男性は父親殺しの願望を抱いていないって。でも、フロイトの分析はある程度もしくはそれ以上に認知療法に有効であると証明する新しい研究結果を読んだんだ。オーストリア出身の84歳かそこらのこの伝統的な学者に出会ってから、ソファで仰向けになって自分の夢について議論するようにしている。まるでブラックホールの中で話しているみたいだよ。

ゾッとする。彼の説によると、俺は全般性不安を抱えているらしい。でも、そうじゃない人なんているか」?

Translation by Shizuka De Luca

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