『ブリング・イット・バック・ホーム(Bring It Back Home)』 『ユーズ・ユア・イリュージョン』のセッションで生まれたこのブルージーなデモから、ガンズ・アンド・ローゼズのエアロスミスとナザレスに対する愛情を容易に汲み取ることができる。エアロスミスのアルバム『ロックス』を彷彿させるチャンキーなリフとローズの低い音域を活かした『ブリング・イット・バック・ホーム』は、出だしから抑え気味だ。ねちっこく、ザラリとしたストリート感満載のこの曲は、洗練されすぎた『ユーズ・ユア・イリュージョン』IとIIが、ガンズがこれまで続けてきたサウンドになっていたかも知らないと思わせる。事実、『アペタイト・フォー・ディストラクション』からのより自然な進歩を示している。「盛りのついた犬」「彼女は自由を歓迎する」などと吐き捨てるローズのヴォーカルに、『ナイトレイン』やナザレスの『人食い犬』(『"ザ・スパゲッティ・インシデント?"』でカヴァー)のリズムとの共通点が、『ユーズ・ユア・イリュージョン』のどの曲よりもあるにもかかわらず。曲をまとめるのは、イントロの「ウー」と伸びる唸り、そして曲を締めくくる狂気じみた笑いという、ふたつの特徴的なローズのアドリブだ。『ブリング・イット・バック・ホーム』についてただひとつ解せないのは、なぜこの売れ線の曲が日の目を見なかったのかということだ。