レニー・クラヴィッツが語るプリンス:「彼は師であり親友、自分の一部が死んでしまったみたいだ」

プリンスは、とても愛情深い人だった。一度気に入ると、ずっと大切に優しくしてくれた。もちろんよそよそしい時もある。姿を見せてくれない時もある。1年連絡が無いときもあったけど、平気だった。一緒に何かしたいと彼が思ってくれたら会ってくれる。いつも突然現れるんだ。俺はいつも友達と一緒でなくても平気な人間だ。最後に別れたところから続けるのが得意なんだ。俺たちとはずっとそうして来たんだよ。

俺は彼と、仕事でも、そうでないときでも、たくさん会っていた。最後に話したのがいつかなんて思い出せないくらいだ。この前、緊急着陸の話を聞いて確信した。「よし、なんとか切り抜けたな。危ないところだったけど。大したことはない、これからも一緒にやれるさ」と思った。そして1週間後、あの知らせを聞いた。うちのめされたよ。今も立ち直れてない。大げさに考えたり、神経質になりすぎないようにしているけれど、本当に自分の一部が死んだような気がするんだ。

プリンスは、自分にとってどれだけの影響を与えたことか。高校時代の生物の授業中だった。ソニーのウォークマンを持っていて、『ダーティー・マインド』を聞いていた。『ヘッド』を聴き、ドクター・フィンクのシンセ・ソロから学んでいた。座り込んで何度も何度も聞いたよ。あのレコードが俺の進むべき道について、想像の扉を開いてくれた。プリンスと俺は似ていたんだ。彼に自分をを重ね合わせていた。どこに向かうのかについての想像が膨らんで、決まった型に押しこむことなんてできなかった。プリンスはいつもこう言ってたよ、「君にはできる。俺はこうしたけど、次は君が自分のやり方でやるんだ」ってね。意味するところは深いよ。彼は師だったし、その後友人として付き合うようにも、一緒にプレイするようにもなった。だから、彼と一緒に僕の一部も去って行ってしまった。

聞き手:Andy Greene

Translation by Kise Imai

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