プリンスの恩師による回想録:稀代の天才の素顔を語る

デビュー前のプリンスにレコーディングの機会を与えたぺぺ・ウィリー(photo by Sherry Rayn Barnett/Getty Images)

『プリンスはその辺のセッションプレイヤーよりもずっと優れたミュージシャンだった』

当時、プリンスはちゃんとした環境でのレコーディングをまだ経験したことがなかった。そこで私は、クック・ハウス・レコーディング・スタジオで94イーストのレコーディングをしていたある日、彼をスタジオに呼んだんだ。興奮した様子でやって来て、私は『ゲーム』『イフ・ユー・シー・ミー』『オールウェイズ・ラヴ・ユー』『イフ・ウィー・ドント』『ベター・ザン・ユー・シンク』の5曲入りのテープを渡して、弾いてみろと言った。バンドの他のメンバーと同じように扱ったんだ。

スタジオを抑えていた4時間のうちに、私たちは5曲すべてを録り終えた。ほとんどリハーサルもしていなかったにも関わらず、全員が素晴らしいパフォーマンスをしてみせた。その時の曲は『ザ・クックハウス5』に収録されているよ。

私はレコーディングセッションに数多く参加してきたが、プリンスはその辺のセッションプレイヤーよりもずっと優れたミュージシャンだった。私が知るどのギタリストよりも、彼は見事にギターを弾いてみせた。本当に驚かされたよ。私なんか彼の足元にも及ばなかったんだ(笑)

当時の彼は無口で、自分から口を開くことはほとんどなかった。グランド・セントラルのリハーサル時に、私が休憩しようと提案すると、モーリスとアンドレは従ったが、プリンスはスタジオを離れようとしなかった。「俺はここにいるから、何か食べて来いよ」彼はいつもそんな感じだった。でも時々女の子の話で盛り上がったりしたよ。あとよく一緒にバスケをしたんだ。

コート上での彼はパッとしなかったよ。彼の弱点が露呈されてしまうからね。ある日プリンスとアンドレと一緒に3オン3をしていて、私たちのチームが彼らをコテンパンにやっつけたんだ。プリンスは気を害した様子で、「チビ相手にムキになりやがって」なんて言ってたよ(笑)私のチームの1人は私と同じくらいの長身だったんだが、プリンスは背が低かったからね。ことバスケに関しては、私たちに分があった。彼も決して万能ではなかったということだよ。


ぺぺ・ウィリー(左端)とプリンス(Courtesy of Pepe Willie

それから私はバンドを売り込むためにニューヨークに行った。私がミネアポリスを離れていた6ヶ月間の間に、プリンスはオーウェン・ハスニー(プリンスのマネージャー)とクリス・ムーン(デモテープのプロデューサー)と出会ったんだ。私が彼らと初めて顔を合わせた時、プリンスはまだ17歳だった。本なんかでは16歳だったとされているけど、それは間違いさ。とにかく、オーウェンもクリスもいいやつだったよ。

Translation by Masaaki Yoshida

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