バーニー・サンダースの政治革命の未来は?

「国中の誰でもティーパーティーに共感をもてる」と、チョーは言う。「このオープンソースの性格、これは私たちの運動にももうある。私たちに必要なのは、それを政党の構造において実現することだ」

その新しい政党による政治はティーパーティーと大きく異なることになるが、「独立した政治力」が厳密にどのような形をとるのかについてはまだ議論が終わっていない。誰を参加させるのか。核となる価値観と政治基盤は何なのか。これは第三勢力なのか、それとも民主党の造反勢力、あるいはまったく別の何かなのか。このような疑問がさまざまな問題にわたる運動のスペースの中にわき上がり、コンセンサスというよりもエコシステム(生態系)の体をなしている。今年の選挙における既成政治への怒りのうねり──二大政党のどちらにおいても──は、選挙のアウトサイダーにとって格好の状況だと誰もがみている。

「私たちは、これを特定候補のための反応とは考えていない」と、「Black Lives Matter」の活動メンバーで、昨夏の初の全国集会のオーガナイザーの1人にもなったモーリス・ミッチェルは言う。彼はまた、人種的公正、テクノロジー、市民的社会参画に焦点を置く活動団体「ブラックバード」の共同創設者でもある。

「これは運動としての私たちの立ち位置の自然な進歩だ」と、ミッチェルは言う。「このような対話は新しくはないが、今は本当の可能性という意識がある」。「Black Lives Matter」の運動は、橋やハイウェイ、公共交通機関の封鎖といった混乱を引き起こす戦術により、システミックな人種差別に関する先例のない国民的対話を生み出した。そのために民主党の大統領候補は、“Black lives matter.”と宣言することが選挙戦において政治的妥当性を保つうえで決定的に重要となった。


4月18日、ニューヨーク市クイーンズでの選挙集会に集まったバーニー・サンダースの支持者たち(Damon Winter/The NY Times/Redux)

さらに加えて、“Black Lives Matter“のオーガナイザーたちはすでに活動を選挙と一体化させ始めていると、ミッチェルは言う。活動団体のBYP100は先月、イリノイ州クック郡のアニタ・アルバレス検事の再選を阻むための運動(#ByeAnita=「さらば、アニタ」の意)をシカゴで率いた。アルバレス検事は、17歳のラクアン・マクドナルドに16回も発砲した警官を事件発生から1年以上経過するまで起訴しなかった。戸別訪問や合計約20万件の電話などによる選挙応援運動を受けて、対立候補のキム・フォックスを支持する有権者が投票所に足を運んだ。同様にオハイオ州クリーブランドでも地元の活動団体が、市の公園で12歳のタミル・ライスを射殺した警官を起訴しなかった検事の再選阻止に尽力した。

Translation by Mamoru Nagai

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE