巨大化するフェス産業、プラスチック汚染に立ち向かう音楽業界の今

ボナルー・フェスティバルにて。再利用可能なカップやマイボトルを持参する人。(photo by Brandise Danesewich)

アーティスト達は、彼ら独自のやり方で使い捨てのごみを減らし、イベント主催者の手助けをしている。

プラスチックは世界中に溢れかえっている。地球上の海には五大陸サイズのプラスチックの塊が蓄積しており、専門家の予想によると、我々の貪欲な消費量が変化しない限りそれは2050年までに魚の数よりも多くなるということだ。文明社会から離れて暮らしている場合を除き、あなたもこの統計を聞いたことがあるだろう。

一般的な音楽フェスでは、どの程度の量のごみが出るのか?毎年テネシー州で開催される野外ロック・フェスティバル、ボナルー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル(通称:ボナルー・フェスティバル)では、2015年の開催時、4日間でおよそ9万人の来場者が参加し、679トン以上のゴミが発生した。これはフェス参加者一人あたり15ポンド(6.8kg)のごみを出していることになり、この数値はアメリカ国民が日常で出す量のおよそ2倍だ。そしてごみの中でも一番多いものが、ミネラルウォーターのペットボトルやビールカップ、ストロー、食器、包み紙、容器などの使い捨てのプラスチック用品だ。

良いニュースは、プラスチック汚染を改めるという動きが音楽業界の中で高まってきているということだ。ミュージシャンや音楽フェスは、変化を受け入れ、ステージや舞台裏でプラスチックや二酸化炭素の排出を削減するために努力している。

これは単なるごみの問題ではない。使い捨てプラスチックの大半は、依然として原油や天然ガスなど再生不可能な化石燃料から製造されている。ごみ箱にプラスチックボトルを投げ込み、グラノーラバーの袋を開けるたびに、私たちは気候変動に関する切実な問題を引き起こす要因を作っているのだ。

では、どうすれば変われるのか?

音楽ツアーやアート・フェスティバルは、短期間のパフォーマンスのために一箇所に建てられるミニチュア都市のようなもので、イベントが終わると解体され、長距離輸送されて他の都市で再建され、長めの週末休暇のために訪れた一時的な居住者がその場所に溢れかえり、そして再び廃棄される。それらは創造的なエネルギーからなる巨大な遊牧民の絵画であり、そしてまた大部分がプラスチックでできたごみの島だ。しかし芸術やコラボレーション、デモといった観客の心を奪う活気に満ちた組み合わせの空間は、サスティナビリティ(持続可能性)に向けて方法を開拓・改良する機会を提供してくれる。そして、ツアー・アーティストは独自の影響力を使い、イベント主催者が目標を達成するための手助けをする。

Translation by Yuka Ueki

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