トム・モレロ、モハメド・アリとの思い出を語る:「民衆のチャンプだった」

トム・モレロ少年と伝説のボクサーとの心温まる出会いのエピソードを振り返った。Bettmann

「アリは自分がどうなろうとなりふり構わずに人種差別と闘い、アメリカの帝国主義に立ち向かったんだ」

モハメド・アリ(享年74歳)の逝去に際し、アスリート仲間のほか、バラク・オバマ米大統領などの政治家やポール・マッカートニーをはじめとするアーティストまで様々な方面から多くの追悼の声が寄せられている。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロもインスタグラム(Instagram)を通じ、少年時代にほんのわずかな時間を共有した伝説のボクサーとの逸話を披露しながら彼の死を惜しんだ。

モレロは振り返る。「俺がまだ9歳の時、エア・ジャマイカの機内でモハメド・アリと出会った。彼は機内放送のインターホンを通じて乗客に向かって話しかけたんだ。"俺はモハメド・アリ。俺がこの飛行機を飛ばしてる。心配ご無用。俺は飛行機を飛ばすことにかけても最強だから。みんな俺のサインが欲しいんだろ。これから通路へ出て行って、なんでも好きなモノにサインしてやるよ"、と。そして彼はその言葉を本当に実行したんだ。今でも彼のサインが書かれたエア・ジャマイカのチケットを大切に持っているよ」

プロフェッツ・オブ・レイジ(Prophets of Rage)のギタリストでもあるモレロの心を打ったのは、アリのユーモアやリング上でのテクニックだけではなかった。モレロはアリの社会運動の理念や、信念を突き通す強い姿勢にも深く共感したのだった。

「モハメド・アリは恐れることなく自分の信念と使命を遂行し、誰にもできないことをやってのけた。今の世の中、そんなことのできる人間がいったい何人いると思う?ほとんどいないだろう。アリは自分がどうなろうがお構いなしに人種差別やアメリカの帝国主義に立ち向かい、虐げられたり詐取された人々の代弁者として、彼独特のユーモアも交えながら権力に対して正論をぶつけたんだ。彼は際限のない才能を持つカリスマであり、まさに『民衆のチャンプ』だった」と、モレロは書いている。

モレロに関しては、ニューヨークで開催されるガバナーズ・ボール・ミュージック・フェスティバルの日曜夜のステージ(2016年6月5日)に、プロフェッツ・オブ・レイジのメンバーとしてサプライズ出演することが発表された。

Translation by Smokva Tokyo

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